9/24 とても大事なライトアジ試釣
●協力/真夏もティカジャパン株式会社
「つれる竿」のコンセプトは1本で近場の小物釣りの多くをカバーすること。それらは2つのグループに大別できる。
Aオモリ5〜20号の釣り=代表的な釣り物はシロギス。
Bオモリ25〜30号の釣り=代表的な釣り物はライトアジ。
この2グループに1本の竿で対応するため「穂先を2種類付け」「バットを伸縮させ」「ベイト、スピニング両方で使えるグリップ」にする。
そんなわがままな要求を実現すべく、ティカジャパン・吉田俊介さんが設計、制作したのがプロトタイプ1号だ。
すでに6月中旬にシロギスでの試釣をおこない、上々の結果を得た。つまり、Aグループの代表的な釣り物はクリアした。
当然、次はBグループの代表格・ライトアジ。試釣は7月上旬、金沢漁港の蒲谷丸。モニターは今回も食べたガール・笹本里絵。そして開発者・吉田俊介さんも同行する。
ライトはもちろん、アジ釣りが初めての笹本は訳も分からぬまま、満船の午前船に乗り込んで釣り開始。
「沖藤さん、コマセってどうすればいいんですか?」
「スマン、吉田さんに聞いて」
実はこの日は8月1日号の巻頭特集の取材も兼ねている。まずはそちらを優先して笹本を放置。吉田さんに任せっきり。
「また二毛作するんですか?」
吉田さんにツッコまれたが、午後船では私も並んで釣りをして、じっくりテストする予定だ。
「さあ、午前船は終わりました。笹本、もっと釣りたいだろ」
「あたりまえですよ!(怒)」
吉田さんがサポートしたとはいえ、周りの小学生よりも少ない釣果に口をとがらせる笹本。
「さあ吉田さん、午後船で徹底的にテストしましょう!」
「いや、私はこれで帰ります」
「えええ!?(沖藤&笹本)」
そそくさと駐車場へと向かう吉田さん。
笹本によると、吉田さんは午前船で穂先ととっかえひっかえしては「コマセを振りやすいで
すか?」「アタリの感じ方はどうですか?」と聞いては何やらメモっていたらしい。
すでにデータは得たから、渋滞する前にとっとと帰るのか。
「まあいい、笹本、午後は思いっきり釣ってくれ!」
昼すぎに港を離れた蒲谷丸。午後は午前以上に食いがよく、終始アタリが出た。
「すごい! すごい!」
喜々としてアジを釣る笹本。このとき、プロト1号は試作した穂先の中で最も太い(と言っても先径9ミリ)穂先を装着していたのだが、適度な張りがいいのか、アタリがよく分かる。
一方、私は愛用のライトゲームロッドを使っているのだが、竿先が軟らかすぎるのか、クタンクタンしてアタリが分かりにくい。というか、ハリ掛かりしにくいようにすら感じる。
「すまん。ちょっと貸して」
笹本からプロト1号を強奪して釣ってみる。なるほど、穂先〜穂持ちは張りすぎず、曲がりすぎずで、ビシの動きやアタリが手元によく伝わってくる。会社では元が弱いかも……なんて思ったが、オモリ30 号のアンドンビシを振ることに何の問題もない。これならマルイカだって大丈夫だ。
私が使っている、いわゆる7:3調子のゲームロッドよりも「パリッ」とした張りがあり、操作しやすい。
「これはライトアジにいい!」
思わず唸ってしまう。
「でしょ? そっちのほうが釣れる気がしますもん」
笹本によれば、グリップを30センチに伸ばした状態が脇挟みはもちろん、ヒジで支えやすく使いやすいのだと言う。
「竿、返してくれませんか?」
うぬう……このままでは大人げないので彼女に返す。
「全然問題ないですよ、ライトアジにピッタリですよ!」
蒲谷政徳船長も太鼓判を押してくれたのであった。
「すごく楽しかったです! 今度はいつ行くんですか!?」
中盤以降、放置したにもかかわらず、私よりもアジを釣った笹本が言う。この娘、もしや釣りの才能があるのではないか。だとすれば、今後も初心者モニターとして的確なのだろうか?
と、いらぬ心配をしてしまうほどライトアジの試釣の結果は良好なのであった。