15/24 プロトタイプ最終テスト ーライトアジ編ー

●協力/秋の夜長にティカジャパン株式会社

へし折らんばかりに竿を 振る笹本

金沢八景で行われたプロト2号の最終テスト。午前船で行われたシロギス試釣は問題なく終了。今回は後半、ライトアジでの試釣のはなし。

「船長、この竿、どうですか?」

午後ライトアジ船の準備を進める木村定義船長を呼び止め、オモリ30号ほどのライト用貸しビシをぶら下げて調子を見ていただく。

ユラユラ……。

「うんうん」

ギュイ、ギュイッ!強めにシャクって調子を確かめる船長。

「いいね。竿先は軟らかいけど、元がしっかりしてていいよ」

木村船長(中央)に竿を見ていただく

船長のコメントは好感触。

「慣れない人はね、7:3調子くらいのほうがコマセの振り具合が分かっていいよ、これ、ちょうどいい感じだね」

いざ出船。午後ライトアジは平日でも15人と大盛況。港を出てすぐの富岡沖20メートル台で釣り開始。

「これでアジが釣れたら合格、最終サンプルに進むんですね?」

何度も念押しするティカジャパン・吉田俊介さん。

「もちろんです。きっと問題はないのでしょうが、思わぬトラブルが起こるかもしれません。何せ、対象とするユーザーは女性、初心者ですからね」

「確かに……」

穂先への巻き込みが一番多いトラブル。こ れを防止するアイデアはないものか

気を引き締める吉田さん。

「思い出してきたぞ〜♪ コマセを振るんでしたね!」

グリップよりも先、ブランクスをムギュッと握って天に向かって竿をシャクる食べたガール・笹本里絵。基本もへったくれもないコマセ振りは、開発者をびびらせるに十分だ。

「釣れました〜!」

すでにコマセに着いていたのだろう。竿がキュンキュンと引き込まれている。上がってきたのは20センチ級の小判のような見事なアジ。

船上では好調にアジが上がり始める。笹本はポツポツながら釣り続ける。

「ビシが底に着いたの分かる?」

「分かりま〜す」

「コマセを振り出せる?」

スピニング仕様のシロギス竿にベイトリー ルを付けて、見事な腕前で釣っていく高校 生。ベイト、スピニング両方使える万能竿 は意外に少ないのだ

「いい感じだと思いま〜す」

「アタリ、分かる?」

「分かりますって!」

しつこく聞くオヤジにイラつく笹本。そりゃそうだ。ちゃんと釣れているのだから。

「竿は問題ないよ、釣ってるの見て、ライトアジに向いてるよ」

船長も改めて太鼓判を押してくれたのだった。

「ただ、巻き込みで破損しないように気をつけないとね」

ガッシャン!

「どうしましょう……」

友人に連れられて来て 面白さにハマり、以来 1人で釣行、貸し道具 で釣っていた女性。こ んな方のために「つれ る竿」を企画しました

穂先に絡みつくように食い込むテンビンを見せる笹本。運よく折れはしなかったものの、やはり釣れているときこそ巻き込みが起こることを再認識。

「吉田さん、やはりライトアジを中心とした硬めの穂先、Aタイプは、太いほうで間違いありませんね」

ライトアジ対応の穂先の太さは先径0.8ミリと0.9ミリを用意してあるが、0.9ミリを採用することを確認する。

かくして、ライトアジも無事に試釣を完了した。1本の竿でライトアジやシロギスをはじめとする、複数の内湾の小物釣りができないか?その答えとして替え穂式、スライドバットシステムを採用した「つれる竿」は、入念な試釣と仕様の変更、調整の結果、市販品同様となる「最終サンプル」へと進むこととなった。

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●取材協力
金沢八景・弁天屋
☎ 045・701・9061
(詳細は132ページ情報欄参照)
▼半日船6000 円(リレー割引あり)、一日船9000 円
▼カワハギ、アジ、餌木スミイカ、午前、午後ライトアジ、午前シロギス、午後イシモチ乗合へ出船中