17/24 価格のモンダイ

●協力/ティカジャパン株式会社

神田の雑居ビルの屋上でスカイツリーを背にティカジャパンの吉田俊介さんに秘密を打ち明けられるという、まるでトレンディードラマ(今は言わないよね)のような展開から続く「つれる竿」プロジェクト。

今回はお詫びとご報告で す……

今回は、皆さまへのお詫びを兼ねての「価格」についてのご報告。

「吉田さん、価格って、もしかして1万円(メーカー希望本体価格)が難しくなっちゃったとか?」

「簡単に申し上げますと、そういうことなんです。どこから説明すればよいか……」

普段、困ると頭をかいて釈明会見状態に陥る吉田さんだが、今回は直立不動。本当に困っているのだ。

「実はですね、穂先を2本付けたり、スライドバットシステムを採用したり、塗料そのほか色いろと仕様を変えていくうち、
見積がオーバーしてしまったのです」

「なるほど……」

「たとえば、現在の仕様でメーカー希望本体価格1万円ですと、1本あたりのコストがこれぐらいなので……カタカタカタ……
このような数字(企業秘密)になってしまうのです」

階下の編集部へ降りて、電卓を弾いて見せる吉田さん。

「げっ! 吉田さん、それじゃあ商売になりませんね」

「はい。細かい仕様の調整で対処してみたのですが、やはり難しくなってしまいまして……」

選択肢としてはさらなるコストダウンができたのかもしれない。しかし、替え穂を付けてライトアジからシロギスまで使えて、ベイト、スピニング両方使えて、スライドバットシステムを搭載すると、やはりメーカー希望本体価格1万円は難しいとの結論に至ったそうだ。

「私も悩みました。替え穂を諦めれば、または、スライドバットシステムを諦めれば、可能かもしれません」

「でも、それでは女性や入門者が東京湾奥の色んな釣り物を1本の竿で楽しめる『つれる竿』ではなくなってしまいます。繰
り返し試釣して、替え穂とスライドバットがいかに有効か分かっていますから」

「そうなのです。ですから(詳しくは申し上げられないのですが)、『つれる竿』の構造的なアイデアは、メーカー希望本体価
格1万円では難しかったのです」

「分かりました。じゃあ、誌面で読者の皆さんに伝えて、謝りましょう。」

「はい。でも、理解していただけますかね」

「都合が悪い事実に関して、発表と説明が遅れるほど後の信頼を得られないのは今回の大震災での政府と東電の対応で痛いほ
ど分かっているじゃありませんか。竿づくりの舞台裏を報告するのも『つれる竿』プロジェクトです」

というわけでお詫びです。

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、当初目的としていたメーカー希望本体価格1万円を上回る価格での販売が決まり
ました。ここにお詫びいたします。(沖藤&吉田)

電卓で次つぎにはじき出される数字にビビる。な んだか最近こんなシーン多いなあ、公私ともども

「で、吉田さん。いったい、いくらになるんですか!?  場合によっては読者の皆さんから総スカン食らいますよ!」

「ちょ、ちょっと脅かさないでくださいよ」

カタカタカタ……。分かりやすい数字でも電卓をたたき液晶画面で示す吉田さん。

「……実は、メーカー希望本体価格1万5000円がギリギリなのです」

「分かりました。では、発表していいですね?」

「……大丈夫ですっ」

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、メーカー希望本体価格1万5000円を予定しております。

あまり詳細な数字は書けないのだが、メーカー希望本体価格と、店頭で販売されている価格は必ずしも同じではない。

これは他の竿やリールを見ても分かるとおり。もちろん『つれる竿』MAGICAL☆ONEも同じかたちで流通する。

いわゆる店頭価格については、来春、4月ごろの発売によって各店舗のほか、つり情報ホームページにて分かるはず。もしくは、国際フィッシングショー2012「つり情報」ブースで最終サンプルを展示する予定なので、こっそり聞いてください。あくまで個人的な予想をお教えします。

次号、重さのモンダイ?