22/24 読んで楽しい使用説明書?
●協力/ティカジャパン株式会社。業務命令でしょうか。
いよいよ市販品のサンプルも完成、5月上旬の発売に向けて工場で量産が進んでいるはずの「MAGICAL☆ONE」。
わが「つれる竿」プロジェクト(ティカジャパン吉田俊介さんと私と時どき食べたガール・笹本里絵)も、残す役割は国際フィッシングショー2012の『辰巳出版・つり情報』ブースにおける釈明、いや違った、商品展示と説明を残すところとなった、と、思いきや……。
◇
「ちょ、ちょっと待ってください沖藤さん、梱包と使用説明書、まだ終わってないですよ」
感慨にふけっていると電話の向こうで吉田さんが焦っている。
「梱包はプラケースを使わずに、仕様書はティカさんがプレートを付けて、使用説明書はうちで作るって話ですけど何か?」
「何か? って……。まあ、プラケースなくて大丈夫かって思いましたけど、コストダウンになっていますからいいとして」
「おれはプラケースはいらないと思います。きっと、つれる竿をほしいと思う人は、プラケースに価値観を見いだしません。そもそもプラケースって、売り場で置きやすいとか、輸送で安全とか、販売面の事情でゴニョゴニョゴニョ……」
「はいはい、分かりました。ところで、使用説明書、できましたか?」
最近は忙しいのか、議論してくれない吉田さんである。
「え? 次の締め切り終わってからでいいんじゃないの?」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ、手を付けてないんですか? 印刷して、4分の1に折って、工場で1枚1枚、竿袋に同封するんですよ。上がってなかったら、工程が止まっちゃうんですよ」
「発売が5月だから、4月ぐらいでいいのかと思ってました」
「……大丈夫ですか?」
「仕方ないですね、まあ、案は練ってありますから、少々お待ちください」
◇
みなさん、釣り竿や釣具の使用説明書って、読んで楽しいですか?
私は仕事柄、説明書や家電のマニュアルでも、よくできている物には面白さや満足感や価値観を見いだします。
たとえば昔、ビッグワンガムってプラモデル付きのガムがあったでしょ? 私はあの箱と説明書が大好きで、戦艦大和のパッケージに心躍らせたものです。
と、いうわけで、つれる竿・MAGICAL☆ONEの使用説明書は、読んで楽しく、ためになる、をコンセプトに作ってみることにしたんです。
今は何でもパソコンで設計するのですが、ここはひとつ、紙にガーッと描いてみました。それが写真1。
こうしたら面白いぞ、あ、ここはちゃんと説明しなくちゃ、竿の説明書だけど、チチワの作り方とか、穂先保護の話とか、竿やリールの手入れまで書いたほうがいいゾ、などなど、買ってくれる皆さんを思い浮かべながら、落書きのようにズンズンイメージを膨らませます。
あとは、本誌で活躍していただいているイラストレーターのたむら正さんと、デザイナーの富田さんに発注。ああだこうだと手直しして、でき上がったのが写真2。
説明書はピンクを基調としたデザインで、カラー印刷、4分の1に折って竿袋に同封。
これは使用説明書ですが、つり情報編集部から、MAGICAL☆ONEを買っていただいた方への手紙だと思ってください。これを読んで、ワクワクしてくれたらいいなと思います。
◇
「ところで、このイラストのギャラ、つり情報に請求していいんですよね?」
「ねえねえオッキー、デザイン代っていつもの基準でいいの?」
いけね! 予算、考えてなかった……。
次号、MAGICAL☆ONE内覧会に登場!?
写真1と2を左下に大きめに並べてください。
写真1
[写真1]コピー用紙数枚に、書いては消してを繰り返してイメージと文面を書き留めていく
写真2
[写真2]イラストレーターの田村さんとデザイナーの富田さんが下絵をもとに制作、デジタルでフィニッシュしてくれる。まさにプロの仕事、お見事!パチパチパチ
写真3(タイトル横に)
[写真3]4分の1に折った状態で竿袋に同封されるMAGICAL☆ONEの使用説明書