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14/24 プロトタイプ最終テスト ーシロギス編ー

11月 16 2011 Published by under 本誌記事

●協力/ここはひとつティカジャパン株式会社

黒塗りのプロトタイプ2 本も今回でお役ご免。無 事、最終サンプルへとバ トンを渡すことができる のか?

10月中旬、小春日和の金沢八景。故・服部善郎名人を始め内田恒洋さん、長谷光祐さんらが常宿とした弁天屋。

今回はプロト2号の最終試釣・シロギス&ライトアジのうち、前半のシロギス釣りのはなし。

「今日OKなら、プロト2号で最終サンプルに進むんですよね」

ティカジャパン・吉田俊介さんも今日は気合十分。

「では、まず船長に聞いてみましょう!」

シロギス船を担当する森本直樹船長にプロト1号と2号を見てもらう。穂先はどちらもシロギスをメインにした軟らかいタイプ、通称Sの穂先を装着。

「お、どちらもいいですよ。個人的にはこっち、元が張ってるほうが好きかな。胴つき仕掛けにとくによさそう。うん、魚が
いれば釣れるよ」

シロギス船を担当する森本船長に見てもらう。 ちなみにツリタガールの亜美ちゃんは森本船長 のファンです

細かい説明をせずとも、プロト2号が元部だけ強めていることを見抜く船長。さすがである。

「ところで今日のモニターは?」

今や食べたガール改め、つれる竿モニター・笹本里絵は待合所でおかみさんと談笑中。わずか1時間で、同宿のスタンプカードを持っている(らしい)吉田さんよりもなじんでいた。

さて。7時半に出船したシロギス船の釣り場は八景沖の水深20メートル台。オモリ15号、テンビン仕掛けと胴つき仕掛け、プロト1号と2号を交互に使ってもらう。

「ですからね、そう、いえいえ、こうです……」

笹本に付きっきりで教える吉田さん。でも、ヌカにクギ。

「吉田さん、放置していいんです。釣れなければ本人が船長に聞いたり、見かねた船長が教えてくれます。それで釣れなくち
ゃ『つれる竿』ではありません」

「はあ……そ、そうですね」

釣れなくて困っているからアドバイスも効く。その ときにちゃんと竿が仕事をしてくれれば、合格です

常連さんがダブルを交えて好調に釣る中、沈黙する笹本。心配性の吉田さんはいても立ってもいられない。

「テンビン仕掛けのときはオモリをちょっと切ったぐらいで待って、たまに持ち上げてごらん」

アタリが出ない笹本に、ころ合いを見て船長がアドバイス。

「釣れましたー!」

「エサは真っすぐ付けたほうがいいよ」

「釣れましたー!」

「胴つき仕掛けのときはね、オモリを底に着けて、道糸をたるませて、ゆっくり張って、を繰り返してごらん」

「釣れましたー!」

「胴つきはイソメを長めに付けるとアタリがよく出るよ」

「釣れましたー!」

実話である。

置き竿で検証。確かに穂先の軟らかさ、穂持ち 乗合へ出船中 の粘り具合は良好

竿がそれなりに仕上がっていれば、初心者でも船長のアドバイスでそこそこ釣れる。その「それなり」の竿であることが証明されたのだから、文句はない。

「釣れる竿っていうのは、置き竿にしていてもシロギスが掛かるよ。ダメな竿は、なぜか置き竿で釣れないもんさ」

船長が言う。では、検証。笹本に竿を置かせ、オニギリを食べさせる。

「どうしましょう、釣れなかったら……」

20代後半の女性がオニギリをむさぼる様子を、メガネを直しつつ真剣に見守る吉田さん。

「釣れましたー!」

その後も置き竿で連発。

かくして「つれる竿」プロト最終試釣前半・シロギスは成功に終わったのだった。

——————————–

●取材協力
金沢八景・弁天屋
☎ 045・701・9061
(詳細は132ページ情報欄参照)
▼半日船6000 円(リレー割引あり)、一日船9000 円
▼カワハギ、アジ、餌木スミイカ、午前、午後ライトアジ、午前シロギス、午後イシモチ乗合へ出船中

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13/24 ドクモGPにプロト2号参戦

11月 16 2011 Published by under 本誌記事

●協力/読書の秋もティカジャパン株式会社

プラクティスを3回行っ た選手、専用竿を購入し た選手に交じって、ユル 〜いコンセプトの「つれ る竿」の試釣が行われた

元部に張りを持たせたプロト2号ができ上がり、試釣へと進んだ「つれる竿」プロジェクト。今回はプロト2号での初試釣のはなし。

そもそもプロト1号を手にした数人から「元が少し軟らかいのでは?」と指摘されたのが2号を作るきっかけ。最も強く指摘したのが本誌でおなじみ三石忍で、ライトタチウオの試釣のときであった。

その熱意をティカジャパンでロッドの設計・制作を担当する吉田俊介さんに伝えるべく動画に収め、編集部のモニターで見ていただいたのだが、元部をガンガンぶったたきながら説明する三石の怖いこと怖いこと。

その迫力に吉田さんも私もウサビッチのプーチンよろしく震えあがり、即座に人形町のティカジャパン本社に戻りプロト2号の設計に取りかかったのだった(かなり脚色あり)。

さて。プロト2号初試釣の釣り物はカワハギ。

実はプロト1号はカワハギの試釣で成果を上げることができなかった。もし、元部に張りを持たせた2号でもカワハギ釣りに向かないようであったら、汎用性を売りにしつつも「つれる竿」の対象魚種からカワハギを外すつもりである。

カワハギが掛かったとき。カワハギ竿としてはイマイチでも、 穂先を付け替えればイイダコまでできると思えばいいでしょ?

釣り場は内房館山・那古船形の館山つりセンター・くろしお丸。88ページで紹介しているドクモグランプリ2011最終審査にて、参加者の女子・高橋夏希さんに使っていただいた。

「編集長ぉ〜! コレって二毛作ってヤツッスね!」

イタいことをズバッと言い放つ三石忍もスタッフとして乗船。

釣り場は太房沖と坂田沖、ともに水深20メートル前後でオモリは25号。この日のために専用竿を新調した参加者もいる中で、黒塗りのプロト2号、それも汎用竿で夏希さんはカワハギ釣りに挑んでくれた。

「アタリ出たッスよ(三石)」

「おお、本当だ、出てる出てる」

プロト2号に装着している穂先は2本同封するうちの「硬いバージョン」。主にライトアジ用に設計されている穂先だが、プルプルと魚信を伝えている。アタリは出るものの、なかなか掛けられない夏希さん。

「沖藤よぉ、軟らかい穂先のほうがいいんじゃねぇんかし(根岸発行人)」

私もそんな気がするが、それはツリオヤジの感覚。オモリ25号、それもカワハギ釣りであれば、硬い穂先のほうが底の感触もつかみやすいしアタリも手に伝わりやすいはず、と、普段からよく仲乗りをしている三石に諭される。

「ホラ、きたッスよ!」

夏希さんがカワハギを掛け、プロト2号がガンガンとたたかれている。

「3枚目でーす!」夏希ちゃん、ありが とう!

「どう? アタリ、分かった?」

「よく分かりました! 手にも伝わってきましたよ」

明るい笑顔で答える夏希さん。

でも1枚じゃあ何とも言えないよなあ……と、思ったものの、三石は確信を持ったようで、

「編集長、大丈夫ッスよ、竿。女の子でもちゃんと掛けられますよ」と太鼓判。さすがその観察眼は鋭く、夏希さんは2、3
枚と、周りと遜色ないペースでカワハギを掛けてくれた。

プロト2号はカワハギ専用竿に比べれば明らかに胴や穂持ちが軟らかいのだが「使える」レベルにはあるようだ。

カワハギ釣り暦がほとんどない、つまり専用竿を持っていない女性が使ってもアタリが分かり、ハリ掛かりさせられる。

しかも、同じレベルの女子がカワハギ専用竿を使って並んで釣りをしたとき、そん色ない釣果であったことも好材料だ。

もちろんカワハギ釣りに夢中になれば「つれる竿」は明らかに物足りない。そのときには、専用竿を購入すればいい。

と、いうわけでプロト2号はカワハギもクリア。すでに進んでいるイイダコ、シロギス、餌木スミイカなどの試釣の模様は追って紹介する予定。

(今回も沖藤のみの構成でした)

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12/24 プロト2号登場。

10月 15 2011 Published by under 本誌記事

●協力/そもそもティカジャパン株式会社

「どうですか、この辺 まで強くなっています」 吉田さんはかなり元気 になりました

「お待たせしました。ようやく試作品第2号ができました」台風15号がまだ太平洋上をウロウロしている9月中旬、昼下がりの外神田・つり情報編集部。

脱臼も回復が進み三角巾を外して自由度の増した左腕を動かしつつ、ティカジャパン・吉田俊介さんが説明する。

「9月始めの予定が、ずいぶん延びましたねぇ」

「あ、いや、それは色いろありまして……。設計どおりに上がってこなければやり直させますし……って、沖藤さん、勘弁してくださいよぉ」

せっかく上がってきた竿を見せるなり難癖をつけられ軽く逆ギレしてみる吉田さん。

「で、やはり強くなっているのですか?」

「はい。簡単に言えばカーボンを巻く量を増すことで硬さを増しています。プロト1号と比べると元から第1ガイドまでは20パーセント、次のガイドまでは10パーセント強くなっていて、その先は同じです」

竿の設計や構造の話になると水を得た魚のごとく生き生きする吉田さん。

「おお、本当だ! バットエンドから元が強くなってる」

「分かりますか! 違うでしょ」

盛り上がるオヤジ2人。

「ところで、硬くしたからといって、基準はライトアジ、そしてシロギスですよね?」

「もちろんですよ。『つれる竿』の中心円はカワハギではなくライトアジです」

そもそも、プロト1号がライトアジとシロギス試釣で好成績を上げているのに、なぜ元部の張りを持たせたプロト2号を作る必要があったのか?

それは釣れる釣れないではなく、プロト1号を色んな人に持っていただくと、その第一印象として、しばしば「元にもうちょっと強さがあったほうがいいのでは?」という意見が聞かれたためだった。

「これでライトアジで強すぎるようなら、強さはプロト1号でOKですね、吉田さん」

「シロギスもですか?」

「もちろんです」

決してプロト2号がいいという前提ではなく、あくまで硬さを比較するためのものだ。

ただ、ここまでの試釣で、非力な釣りガールや子供たちは、私たちが思うほど竿を大きく動かせない傾向が見られた。

そのためツリオヤジ的に「硬すぎやしませんか?」と思うような竿のほうが、女性やビギナーや子供にとっては仕掛けを動かしやすく、結果として「つれる竿」になる傾向があるのでは? と我われプロジェクトは睨んでもいるのだ。

もちろん単に硬いだけではいけない。ちゃんとアタリを取れる竿先であり、軽さでなくてはいけない。

オモリ30 号。ほとんど差がない

50 号。曲がり込んでいるのがプロト1号

80 号。プロト2号(上)はかなりシャキッとしている。これはいいかも!

「ムムム、オモリ30号以下まで(写真A)は差がないけど、負荷を増していくと(写真B、C)シッカリ感がだいぶ違いますよ。プロト2号はカワハギへの汎用性だけでなく、マゴチやライトヒラメにもいいかもしれません
よ、吉田さん!」

比較画像に思わず興奮する。

「あの……メインはあくまでライトアジ、なんですよね?」

次号、暴走気味のまま女子たちの試釣へ!?

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11/24 意外に進んでいる試釣のまとめ

10月 11 2011 Published by under 本誌記事

●協力/そもそもティカジャパン株式会社

カワハギも釣れたらい いな、程度だったのが、 欲が出てきました。

前号、クルマが全損になったなんて冗談めかして書いたら、色んな方面で「本当?」と質問されてしまったのでちょっと反省。実際のところを申しますと、赤信号で停車中にお爺さん運転の乗用車にノーブレーキで追突され愛車は大破・全損となりました。みなさん、運転には注意してくださいね。

と、いうわけで、開発担当のティカジャパン・吉田俊介さんも左肘脱臼の重傷(時期が同じなのは偶然です)と、満身創痍の「つれる竿」プロジェクトチーム。元部に張りを持たせた「プロト2号」が上がってくるのが
9月上旬、しばしの小休止となった。

今回は「つれる竿」試作品1号、通称プロト1号で行われた試釣の様子をザッと紹介。

これならライトケンサキも大丈夫!とイカ先生こと 富所潤さん。日本海でも試釣(少しだけどね)

連載で試釣の様子を紹介したのが、
●シロギス
●ライトアジ

このメイン2魚種は大成功、テストはほぼ初めての女性・笹本里絵が行った。この時点で「替え穂」「伸縮グリップ」ほか各パーツの寸法や強度など、基本的な方向は間違っていないと確信。

ここから「つれる竿」の真骨頂・汎用性のテストに進む。
現在まで試釣した釣り物を列記すると……、

子供がテストしたタチウオジギング

●ライトマルイカ
●カサゴ
●ライトタチウオ
●タチウオジギング
●カワハギ
●イイダコ

この中で好結果だったのがカサゴ、タチウオジギング、イイダコ。この3魚種は間違いなくオススメ。

とくにタチウオジギングは体格の小さな子供に試釣してもらったところ、竿のよさが現れた試釣となった。穂先は太いほうがベストマッチ、グリップは伸ばした状態で使用。120グラムのメタルジグまでシャクることができ、タチウオの引きにも不安になることなし。

ぶっ壊してイイッスか! と言って いそうなジャガー・三石(もちろん そんなこと言ってない)

カサゴはドクモグランプリ参加者がカサゴ釣りで一日使用。細いほうの穂先がマッチし、オモリ20号前後で使うと若干先調子気味になるため、仕掛けを根歩きさせることも問題なし。初心者が陥りやすい「海底が分からない」ことも少なかった。イイダコは後日、ネタ切れの際にじっくり報告したい。

さて。ここまで読むといいことずくめに思える「つれる竿」の試釣だが、実はまったく釣れず、テストにならなかったり、不調に終わった釣り物もある。

それを書かないとインチキ臭くなるので触れておく。まず、ライトマル

イカ!よりによって試釣した日は船中マルイカゼロ。負け惜しみだが、オモリ30号と仕掛けをぶら下げた感触は

なかなかよし。太いほうの穂先は「直結のタタキ釣り」、細いほうの穂先は「たたかず止めて待つ保田スタイル」と、釣法に合わせて2種の穂先を使い分けることができるのではないか? と考えている。

出たらぜったい買います、と言って くれた。うう、ありがとう(涙)

そして貧果に終わったのが、カワハギ。

これは女性に使っていただいたところ午前中わずか1枚。午後から吉田さんが使って数枚釣ったようだが、竿の特性を知っている開発者が使って釣れるのは当たり前。

と、いうわけでプロト2号ではカワハギ、ライトアジ、シロギスでバランスを取れないか試す予定。

(今回は沖藤のみの構成でした)

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10/24 カラーリングアンケート結果発表

9月 15 2011 Published by under 本誌記事

●協力/まちがいなくティカジャパン株式会社

編集部員に聞かれるた び親切にケガの説明を する吉田さん

8月中旬、猛暑一転10 月の気温に落ち込んだ後、再び夏日に逆戻りした外神田・つり情報編集部。今回はだってホームページで公募した「カラーサンプルアンケート」の集計と、完成品プレゼントの抽選のはなし。

「さあ、いよいよブランクス(竿の棒の部分)とグリップのカラーを決めますよ! って吉田さん! どうしたんですか、その腕!?」

添え木をした左腕を三角巾で吊ったティカジャパン・吉田俊介さん。

「いやあ、左肘を脱臼しちゃいまして。まだ腫れてるんですよ」

「脱臼!?またどうして?」

「いやあ、説明すると長いのですが……」

包帯グルグル巻き+三角巾=あまりに分かりやすい重傷の図=周りは質問せずにはいられない=毎回同じ質問に答えるのにへきえき←吉田さん。

「分かりました。細かいことは答えなくて結構です。確かに今の吉田さんが大阪で電車に乗ったら、間違いなく数人のおばちゃんに『あんちゃん、どうしたん』って聞かれます」

「お気遣いありがとうございます。ところで、沖藤さんのクルマ、全損って本当ですか?」

「さあ! アンケートの集計と抽選、いきましょう」

今回、ホームページのアンケートに釣りガールたちから寄せられた応募は43通。集計結果は次のとおり。

[ブランクス]
A=メタリックピンク 19票
B=メタリックレッド 6票
C=ラメピンク    18票

[グリップ]
1=ブラック     13票
2=ブルー      4票
3=レッド      12票
4=ブラック/レッド 14票

と、いうわけで僅差ではあるものの「つれる竿」MAGICAL★ONEのカラーは、

●ブランクス(本体)=メタリックピンク
●グリップ=ブラック/レッドに決定!

ちなみに、竿先のカラーリングは実釣テストで視認性を確認しながら決定していく予定。

とりあえず第一案として、替え穂先の先端17センチほどを、

●硬いほう=オレンジ
●軟らかいほう=白

でテストしていく予定。

そのほか、ブランクスとグリップのつなぎ目にゴールド、スライドバット(ビヨーンと10センチ伸びるところね)の継ぎ目にコパー(銅)のリングを装着する。

複雑怪奇なあみだくじによって行われた抽選

「さあ、次は完成品プレゼントの抽選です。あみだくじでいきましょう」

「ええ!?43人分ですよ」

「まず最初に応募受付番号で偶数・奇数を抽選、その後、あみだくじでいきましょう」

……30分後。

★応募受付番号1004番「なな」さん当選です。来春、完成品を発送いたします!。

皆さま、アンケートにご協力いただき、まことにありがとうございました!

こうしてカラーリングが本決まりとなった「つれる竿」プロジェクト。9月上旬には試作品第2号、プロト2号がそのベールを脱ぎ、1号、2号での比較実釣というステージへ進む。

「ところで沖藤さんは体、大丈夫だったんですか?」

「首から右腕が痛いですよ」

「じゃあ、私が右手で竿を持ちますから、左手でリールを巻いてください。はははは」

満身創痍のプロジェクトチーム。でも、試釣するのはあくまで女性、もしくは初心者である。

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9/24 とても大事なライトアジ試釣

9月 01 2011 Published by under 本誌記事

●協力/真夏もティカジャパン株式会社

バットを 30 センチに伸 ばすとヒジに当たるの で支えやすくなる

「つれる竿」のコンセプトは1本で近場の小物釣りの多くをカバーすること。それらは2つのグループに大別できる。

Aオモリ5〜20号の釣り=代表的な釣り物はシロギス。
Bオモリ25〜30号の釣り=代表的な釣り物はライトアジ。

この2グループに1本の竿で対応するため「穂先を2種類付け」「バットを伸縮させ」「ベイト、スピニング両方で使えるグリップ」にする。

そんなわがままな要求を実現すべく、ティカジャパン・吉田俊介さんが設計、制作したのがプロトタイプ1号だ。

すでに6月中旬にシロギスでの試釣をおこない、上々の結果を得た。つまり、Aグループの代表的な釣り物はクリアした。

当然、次はBグループの代表格・ライトアジ。試釣は7月上旬、金沢漁港の蒲谷丸。モニターは今回も食べたガール・笹本里絵。そして開発者・吉田俊介さんも同行する。

ライトはもちろん、アジ釣りが初めての笹本は訳も分からぬまま、満船の午前船に乗り込んで釣り開始。

「沖藤さん、コマセってどうすればいいんですか?」

「スマン、吉田さんに聞いて」

実はこの日は8月1日号の巻頭特集の取材も兼ねている。まずはそちらを優先して笹本を放置。吉田さんに任せっきり。

「また二毛作するんですか?」

吉田さんにツッコまれたが、午後船では私も並んで釣りをして、じっくりテストする予定だ。

「さあ、午前船は終わりました。笹本、もっと釣りたいだろ」

「あたりまえですよ!(怒)」

吉田さんがサポートしたとはいえ、周りの小学生よりも少ない釣果に口をとがらせる笹本。

「さあ吉田さん、午後船で徹底的にテストしましょう!」

「いや、私はこれで帰ります」

「えええ!?(沖藤&笹本)」

そそくさと駐車場へと向かう吉田さん。

笹本によると、吉田さんは午前船で穂先ととっかえひっかえしては「コマセを振りやすいで
すか?」「アタリの感じ方はどうですか?」と聞いては何やらメモっていたらしい。

すでにデータは得たから、渋滞する前にとっとと帰るのか。

「まあいい、笹本、午後は思いっきり釣ってくれ!」

昼すぎに港を離れた蒲谷丸。午後は午前以上に食いがよく、終始アタリが出た。

「すごい! すごい!」

喜々としてアジを釣る笹本。このとき、プロト1号は試作した穂先の中で最も太い(と言っても先径9ミリ)穂先を装着していたのだが、適度な張りがいいのか、アタリがよく分かる。

一方、私は愛用のライトゲームロッドを使っているのだが、竿先が軟らかすぎるのか、クタンクタンしてアタリが分かりにくい。というか、ハリ掛かりしにくいようにすら感じる。

「すまん。ちょっと貸して」

笹本からプロト1号を強奪して釣ってみる。なるほど、穂先〜穂持ちは張りすぎず、曲がりすぎずで、ビシの動きやアタリが手元によく伝わってくる。会社では元が弱いかも……なんて思ったが、オモリ30 号のアンドンビシを振ることに何の問題もない。これならマルイカだって大丈夫だ。

私が使っている、いわゆる7:3調子のゲームロッドよりも「パリッ」とした張りがあり、操作しやすい。

「これはライトアジにいい!」

思わず唸ってしまう。

「でしょ? そっちのほうが釣れる気がしますもん」

笹本によれば、グリップを30センチに伸ばした状態が脇挟みはもちろん、ヒジで支えやすく使いやすいのだと言う。

「竿、返してくれませんか?」

うぬう……このままでは大人げないので彼女に返す。

バットを伸ばして脇挟み。操作性、強度に問題なく、快適に釣ることができた。ライトアジも合格!

「全然問題ないですよ、ライトアジにピッタリですよ!」

蒲谷政徳船長も太鼓判を押してくれたのであった。

「すごく楽しかったです! 今度はいつ行くんですか!?」

中盤以降、放置したにもかかわらず、私よりもアジを釣った笹本が言う。この娘、もしや釣りの才能があるのではないか。だとすれば、今後も初心者モニターとして的確なのだろうか?

と、いらぬ心配をしてしまうほどライトアジの試釣の結果は良好なのであった。

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8/24 カラーリングアンケート募集

8月 15 2011 Published by under 本誌記事

●協力/よくやったぞなでしこティカジャパン株式会社

サンプルは『つり情報 ホームページ』でカラ ーにて見ることができます。アンケートご協力お願いします

つれる竿プロジェクトはプロト1号による試釣と平行して、女性釣り師によるアンケートで商品名を「MAGICAL★ONE」、ボディー(ブランクス)色をピンクとすることが決定した。

今回からカラーリングのサンプルを並べて色を決めていく。

「沖藤さん、カラーのサンプルが上がってきました。どうでしょう」

台風一過の外神田。あやしげなロッド撮影(次号、青物用ロッドを特集しちゃいます)の準備が進むつり情報編集部のテーブルに、企業秘密が詰まったサンプルを広げるティカジャパンの吉田俊介さん。

パーツはブランクス、グリップ回り一式。中でもやはり重要なのはブランクスだ。

「材料であるカーボンが黒いので、打ち合わせた塗料をそのまま塗ると若干暗く仕上がってきます」

短く切ったブランクスは3色。

●濃いピンク(というより赤)、
●メタリックピンク
●ラメ入りピンクの3つ。

その中で本命とされるのがメタリックピンク。

「ケータイの色をサンプルにしているだけに、なかなか質感が高いですよね」

これには編集部員も興味津々。しかし目線はすぐにラメ入りピ
ンクへ移る。

「うわっラメ入り、派手だなあ〜! これはないでしょ!」

「いえいえ、皆さんが勝手に決めてはいけません!」

毅然とした態度で編集部員をシャットアウトする吉田さん。
正義漢である。

「じゃあ、ブランクスの色、うちのホームページでアンケートをとりましょうか」

「またやるんですか?」

「女性に聞く、それがこの竿の開発の約束ごとですよね。なでしこジャパンも世界一なったことだし」

ここから時事ネタでしばし盛り上がる「つれる竿」プロジェクトチーム。

「で、グリップはどうしましょうか?」

「これもアンケートとりましょうよ」

「黒、青、赤の3色なんですけど……」

「あれ? 黄色とかってなかったでしたっけ?」

「いやその、在庫が少なく、改めて注文するとコストがかかってしまうことが判明して……」

「じゃあ、リールシートも黒だけなんですか?」

「これも色を着けられますよ。でも、コストがどんどん上がってしまうことが判明して……」

政治家でも電○会社でも、ペーパー棒読み記者会見が当たり前の世の中にあって、吉田さんはアドリブで汗をふきふき真剣に釈明してくれるのだった。

「100本製造するとして、1本1万円以内に収めようとすると、グリップは黒、青、赤のどれか、リールシートは黒1色。これが条件なんですね、吉田さん!」

「いやまあ……そうなんです」

「じゃあ、グリップの色を組み合わせるのは?」

「あ、それは可能です」

そこで黒と赤と青を何通りも組み合わせてみる。

「これでどうでしょう? 黒と赤のツートン」

「はあ……4通りのグリップとブランクスを並べた画像を女性に投票していただくわけですね」

「今回は色を選んでいただくので、告知&投票方法をつり情報ホームページに掲載しましょう。で、抽選で1名様に完成品をドーンとプレゼント!」

「ええ!?また完成品プレゼント出すんですか?」

メガネを直し驚く吉田さん。

「はい。アンケートを募集するたび、完成までに3本ぐらい出しましょうよ。開発コストというか、マーケティング費と思えば、どうってことありませんよね? これで2本目♪」

「ま……まあ、それも含めて、1本1万円以内に落ち着けなくちゃいけないんですよね。本当にできるのかなあ……」

★と、いうわけで、つれる竿・MAGICAL★ONEのカラーリングアンケートをつり情報ホームページで行います。(注:アンケートは終了しました)
●応募資格は女性。なりすまし厳禁!
●ホームページhttp://tj-web.jp/インターネットで「つり情報」で検索。アンケートに答えて、

必要事項に記入してください。

●応募期間は8月1日〜15日まで。決定したカラーと完成品プレゼントの当選者は9月15日号(9月1日発売号)のこの連載にて発表いたします!

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7/24 うまくいきすぎ?シロギス試釣。

8月 01 2011 Published by under 本誌記事

●協力/ティカジャパン株式会社ですが、なにか?

笹本が持参した竿袋。 本牧海づり施設で好評 だったそうだ

商品名が『MAGICAL★ONE』に、カラーがメタリックピンクに決定した「つれる竿」プロジェクト。

今回はプロトタイプ1号を使った1回目の実釣テスト・シロギス釣りのはなし。

舞台は船橋出船で訪れた盤洲の水深10メートル前後の浅場。今回、プロト1号を使ってモニタリングしてもらうのは本誌でたびたび登場しているビギナー・食べたガール笹本里絵。

この組み合わせ、実は7月15日号の第2特集「シロギス釣りのウソ×ホント」の取材。このとき「つれる竿」の試釣も行ったわけだ。

「それって二毛作って言うんですよね?」

とティカジャパン・吉田俊介さんにツッコまれたが、予算がないのだから仕方ない。

●シロギス釣りでのグリップをチェック!

シロギス専用竿はリアグリップの長さ20センチ以内が主流、実際に短いグリップは操作性がいい。

つれる竿=MAGICAL★ONEのグリップは20〜30センチへ伸縮できる可変式(全長170センチから180センチ)で、グリップはスピニング、ベイト両方の取り付け可能。穂先は硬・軟2種を備える。

当然、シロギス釣りではグリップを縮めた状態で、スピニングリールを取り付け、穂先は軟らかいほうをセットする。

一方、モルモット、いや、モニター・笹本里絵の仕様。
・腕力=一般的な女性(強め)。
・体格=一般的な女性(大きめ)。
・技量=典型的な初心者。
何の先入観も持たずに使ってもらう格好の人物である。

そして実釣。

グリップの使用感について不満はないようだった。そこで、2時間ほど使って慣れてきたあたりでリアグリップを10センチ伸ばし、30センチとして使ってもらうと……、

「ちょっと使いづらいです〜」

しめしめ、である。やはりショートグリップはシロギス釣りでは必要と確認できた。

●シロギス釣りでの竿の調子をチェック!

汎用竿は帯に短したすきに長し。完璧に満足させるのであれば専用竿。そう、ある程度の妥協は想定の範囲内である。

ちなみにプロト1号のブランクス(竿のメインの部分)はライト用の竿を元に設計。それゆえ、シロギス釣りには硬いのではないか? と思われた。

ところが、笹本が使う限り、硬いことによって扱いにくさを感じたり、釣れないことはなかったそうだ。この日はプロト1号のほかシロギス専用竿(高級品)と小物用汎用竿(これも高級品)を持参、途中、使い比べてもらったが、驚くことに笹本が最も使いやすいと評したのはプロト1号だった。

実際に私も使ってみたが、プロト1号はオモリ15号では穂先以外、ほとんど曲がり込まない。印象としては硬く思えるのだが、仕掛けを動かしやすく、軽く感じる。

明らかに重量は他の竿のほうが軽いのだが、グリップの重さ(スライド式のため、実際ちょっと重め)がバランスを手前にして持ち重りを軽減、操作を軽くしているようだ。

穂先について笹本は「アタリがスゴくよく分かる」と言う。ホンマかいなと思い私も使ってみたのだが、あれま、敏感さに驚いた。ただし、この日プロト1号に付けられた穂先は改良前、いわば「プロトのプロト」で、量産化するには強度面での不安が残る物。方向性は確認できたものの、まだ評価しきれない。

ちなみに、船橋港つり滝の佐藤正和船長も「まったく問題なし。初心者が使うには分かりやすい竿だと思うよ!」と太鼓判を押してくれた。

試作品のグリップで指に当たる場所もチェック。 手が小さい女性は意外な所に気がつく

この日、シロギス釣り2回目の笹本は49尾を釣って次頭。手前味噌だが、汎用竿でこれほど快適に釣れるとは驚いた。

もちろん専用竿にかなうなんて、これっぽっちも思っていない。ただ、初心者がシロギスを釣るとき、持ち重りせず、仕掛けを動かしやすい竿は、間違いなく強い味方になることが分かった。まあ、その要素が他の釣りでデメリットになるかもしれないが、それは試釣を続ける中で判明していくことだろう。

「つれる竿」の2大釣り物は、
●軽いオモリ=シロギス
●重めのオモリ=ライトアジ

まずはシロギスを難なくクリア、うれしい誤算である。

次号、カラーリングサンプルで再びアンケート案浮上!?

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6/24 ネーミング&カラーリング決定!

7月 15 2011 Published by under 本誌記事

●協力/そこがティカジャパン株式会社

シミュレーション画像。 オヤジの発想の粋を超 えるカラーリングが進行中

名前と色を女性釣り師から公募して決めるという、たぶん量産の釣り竿では初の試みを実施した「つれる竿」プロジェクト。いよいよ名前を決める。

「応募の中からこれだ! と決めるのもいいかと思ったのですが、それではボクたちが決めたことになりませんか?」

昼下がりの外神田・つり情報編集部。真剣な顔でティカジャパンの吉田俊介さんは切り出す。

「どの応募も『つれる竿』のことをよく考えていただいてますから、22通の色と名前の案で十分に傾向を見ることができます」

吉田さんは3つの円を描いた紙を示して説明する。

「まず、外国語の名前が16通、造語が4通、日本語が2通です。こうして円を三つ描いてみると、重なるところ、つまりストライクゾーンは外国語をメインとして造語をミックスさせた名前、ということになります」

理路整然と話す吉田さん。さすが水産大(現・海洋大)出身。なんだかマーケティングっぽい話になってきた。

「外国語と造語ですか……いくつもあるけど、どれかなあ。おれは『アタック・ナンバー湾』が好きだけど」

「沖藤さんが勝手に選んじゃいけません。まずは女性たちが応募してくれた名前の中から重複するものを選び出し、検討していくべきです」

ピシャリと締める吉田さん。

「で、複数応募のあったのがMAGICAL=マジカル』を使った名前です」

「なるほど『マジカルスティック』に『マジカルマジョルカ』ですね」

「そうです。で、造語については書き方こそ異なるのですが、1本の竿で欲ばりに釣るというコンセプトを反映して『ワン』『湾』『ONE』を加えた名前が多いのです」

「おお、なるほど!」

「そして最も参考になったのが、女性は名前に星(★)を入れるのが好きということです。実に5人の女性が入れています」

「ホントだ、こりゃすごい!」

「で、ですよ。これを組み合わせると『MAGICAL★ONE』となるのです!」

吉田さん。どや顔。

『MAGICAL★ONE』

MAGICAL=マジカルは2種類の穂先と伸縮するグリップで色んな釣りに対応してしまう「魔法のような」または「不思議な」竿を現し……

ONE=ワンは1本で釣るという意味のほか、湾奧のワン、アルファベットで「おねえさん」のONE(オネ)にも通じる。

「おおっ、お姉さんと、お願いにかけて『オネ★ツレ』という名前もありました。これ、編集部では人気あったんだよなあ」

「それら多くのエッセンスを集めたのが『MAGICAL★ONE』ということになります」

う〜む、すごい。男性陣=オヤジ=の好みを一切入れず、女性が考えた名前の集合体だ。

抽選の結果『Merry ★ Fish』で応募していただい た方に完成品をプレゼントいたします。来春までし ばしお待ちください!※応募いただいた皆さま、誠にありがとうございま した。

「ところで吉田さん、名前を採用された方には完成品をプレゼントする予定ですが、正確には名前をそのまま採用された方はいません。ですが、9つの案からから名前の一部を使わせていただきました。どうしますか?」

「そうですね……」

「9本出しちゃいますか? バーッと」

「いや! それはちょっと……」

「では9等分しますか?」

「そんな無茶な!」

釈明会見状態に陥る吉田さん。

「では、名前の一部を採用させていただいた9名の方をクジ引きいたします。応募いただいた皆さま、ご了承ください」

「さて、色はどうします?」

「それこそ圧倒的多数でピンク、ピンクの中でもメタリック、ラメですよ」

「……ですよね」

歯切れの悪い吉田さん。

「以前、ピンクの竿が売れなかったことがあったんですか?」

「い、いや、そうとは言い切れないのですが……」

「だめですよ吉田さん。名前と同じく、物理的、予算的に可能なら、色も女性の意見を最優先しなくちゃ」

「そうですね」

「では、メタリックピンクをメインに、紫を組み合わせ、パール、ブルー、黄、オレンジをあしらった竿を試作しましょう」

「ピンクと紫って、ホントですか?」

「ホントです」

次号、そろそろ実釣の話を書く!かもしれない。

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5/24 プロト1号と名前と色のモンダイ

7月 01 2011 Published by under 本誌記事

●協力/まだまだティカジャパン株式会社

ついに上がってきたプ ロト1号、3種類試作 するはずの穂先がなぜ か4本 !?

「これが試作品です」

「おお! できましたか!」

昼下がりの外神田、つり情報編集部。いよいよ『つれる竿』の試作品=プロトタイプ第1号が上がってきた。

「でですね、ちょっとモンダイがありまして……」

あいまいな笑顔を見せつつプロトタイプを取り出すティカジャパンの吉田俊介さん。

「実は、穂先が先径0.9、0.8、0・75、0.7と、1種類多く作ってしまったのですが……」

「おお、多いぶんにはいいじゃないですか!」

さっそく真っ黒いプロト1号を出して穂先を確認、余分に作ってしまったという先径0.9ミリの穂先を継いでみる。

「いいですね、太くて安心感があって、よく動く!」

「予想外だったのですが、いいですよね? ライトマルイカにも使えるでしょ?」

続いて先径0.8ミリの穂先。

「こちらは当初から予定していただけあって、想像どおり、いい感じですね」

「そうでしょう!」

何よりもグリップを伸ばすとバットが30センチもあるからしっかり脇挟みができるのがうれしい。他の編集部員も脇挟みしては「へえ〜」などと感心しつつ通り過ぎて行く。

「まずは八景あたりのライトアジで、先径0.9ミリ、0.8ミリの穂先を比較しつつ、全体の調子やグリップをチェックしていく感じですね」

「沖藤さん、女性もテストしてくれるんですよね?」

「もちろんですよ。編集部員に女性がいないからって、心配しないでください」

うたぐり深い吉田さんに今一度、釣りガール(独身・推定20代後半)から届いた試釣の日程メールを見せる。

「で、吉田さん、この細い2本がシロギスモードの先径0・75ミリと0.7ミリですね?」

「あ、あ、それがですね、実はライトアジモードと同じ硬さで上がってきちゃったんです」

汗をふきながら慌てて説明する吉田さん。たしかに、穂先を継ぐとまるで9:1の極先調子のようにピンピンしている。

「うわ! これ、硬さが同じままで細くなっているから、衝撃的な竿になってますよ。たとえるなら、極細すぎるカワハギ竿」

「設計ではもっとクニュッとしなやかに曲がるんです。設計どおりにいかなくて、今、作り直させていますからっ」

吉田さん、釈明会見状態。

「これ、書かれちゃうんですか」

「はい。プロトで失敗したり、試釣で折れたりするのも開発の苦労やコストですものね」

「ま、まあそうですけど……」

「ところで沖藤さん、竿の色と名前、そろそろ決めないといけないんですよ」

「ええ!?来春発売なんだから、冬ぐらいじゃないんですか?」

「何言ってるんですか。竿の名前を入れたり、塗装するために6月中旬には色と名前が決まっていないといけないんです」

聞けば竿やロゴデザインのほか箱を使う場合は箱のデザインや発注も夏前には終わらせなくてはいけないらしい。

「色は悩むけど名前は『つれる竿』でいいんじゃない?」

「……ネーミングは女性に意見を聞きましょうよ」

先ほどの釈明会見とは一転、攻めに転じる吉田さん。

「じゃあ、色はおれが考えましょうか?」

さっそく公募メッセージを発信。その 反響に感動

「だめです! それこそ女性たちの意見を参考に作りましょう」

釣りガールのために役立つ竿を作りたい。そのコンセプトだけは譲らない吉田さん。さすが職人である。

「分かりました。では、時間がないのでツイッターとミクシィとフェイスブックで公募してみましょうか!」

「いいですね! ネーミングが採用された方には完成品を贈呈いたします!」

6月15日を締め切りの目安に【拡散希望】で『つれる竿』の色と名前公募メールを回す。すると、女性釣り師が次つぎと協力を名乗り出てくれる。その反響には驚くばかりである。

次号、いよいよネーミングとカラーが決まる、はず。

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