こうして潮回りと投入を何度か繰り返しているうちに、水深90メートル付近でいい反応が出たようだ。船長の合図で6本ヅノブランコ仕掛けを投入すると、オモリが底に着いた瞬間からイカらしき感触が伝わってきた。
　ゆっくりとリールのハンドルを回して糸フケを取り、竿を立てようと思ったが、イカの重みで起こせない。
　な、なんだこりゃ。これってホントにマルイカなの？
　この感覚はむしろヤリイカ。それも駿河湾石花海のような、過激な乗りじゃないか！
　どうにかリールの巻き上げスイッチを入れ、断続的にくる引きをこらえつつ、海面まで浮かせると胴長20〜30センチのマルイカが4杯も掛かっていた。
　隣で直ブラ仕掛けを使う榎木さんも乗りのよさに大興奮。釣り座の周りを水浸しにしながらイカをボコボコと抜き上げている。榎木さんの撮影係として同行していた加藤さんも、大型を釣ったり、4点掛けを決めたりと大忙しだ。
　ここまでの高活性になれば、ツノの色やタイプ、仕掛けの種類なんかほとんど関係なし。底に仕掛けが落ちさえすればイカが乗る状況のように思えた。
　中盤、やや乗りが渋る時間帯があったものの、昼すぎから後再び入れ乗りモードに突入し、皆さん最後の仕上げとばかりにイカを追加する。
　沖揚がりは2時半。船中釣果は32〜63杯（2月初旬現在、今期レコード）。トップは榎木さんで、船中大半の釣り人が40杯前後という文字どおりの爆乗りだった。
　もちろん気まぐれで知られるマルイカだけにこんな日ばかりではないと思うが、これほどの爆乗りを体験してしまうと……頭の中はマルイカ一色になっちゃいます。
　ああ、マルイカ釣りてえ〜、爆乗りさせてえ〜！

［与兵衛丸］小峰 徹船長