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[アジ]
内房金谷港発…金谷沖 勘次郎丸

金谷の名物「金アジ」 食味、釣趣ともに極上

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フィッシングライター/訓覇啓雄
掲載号: 2010年4月15日号

当たり外れがあるのが浅場

 


▲釣らなきゃ損、食べなきゃ損。それが当地のアジ


 東京湾にせよ相模湾にせよ、ビシアジといえば昔から130号のアンドンビシが標準。手釣り用の太い渋糸ならいざしらず、細くて強いPEラインが主流の今、130号はやはり重い。
 確かに、潮がカッ飛ぶような状況なら130号でも流されることだってあるだろう。重は軽を兼ねるのが沖釣りの世界でもある。
 しかし、重いオモリを基準にすると、道糸は太く、道具もゴツくてヘビーなものにせざるをえず、結果的に釣趣の点で不満が出てくる。
 そんな常識を打ち破ったのがライトアジ。軽い道具がいかに楽で快適かを再認識しただけでなく、アジ本来の鋭く小気味いい引きを初めて知った人も多いに違いない。
 ライトアジはここ数年のブームだが、それよりすっと以前から軽い道具でアジを釣らせていたのが内房エリア。
 
 3月11日、金谷沖のアジを狙って勘次郎丸を訪ねた。7時、9名の釣り人を乗せ、佐藤啓船長の操船で出港。
 まずは港の真ん前、水深17メートルで探索を開始するが、いい反応が見つからず、仕掛けを下ろすことなく次のポイントへ。
 開始の合図が出たのは23メートルダチ。すぐ近くには職漁の小舟が数隻、アンカーを入れて手釣りでアジを狙っている。しかしアタリは遠いようで、しばらく見ていても取り込む様子はない。
 こちらも同様で、左舷ミヨシで30センチ級が上がったものの後続はなく、今度は27メートルダチへ移動。ここでも左舷胴の間の常連さんが30センチ級をキャッチするも、本命のアタリはこれっきり。
 反応はいつもどおりとのことだが、水温が急に3度も下がってしまっては、食いが極端に渋るのも仕方ない。
 金谷沖のアジ釣りで最大の魅力がこの浅場。地先の権利により、水深30メートル以浅へは他地区の船が入ってこれないという決まりがある。閉鎖的ともいえなくはないが、そのおかげで環境が保たれ、今も漁業が成り立つほどの魚影が維持できているのは確か。
 また、中小型が主体となる一般的なライトアジとは違い、ここでは浅場で釣れるアジのほうがサイズがいい。とくに40センチクラスの大型は浅場ならではといえる。
 しかも、現地で黄金アジ、金アジと呼ばれる極上物も浅場がメインポイント。幅広で肉厚、脂の乗りも上々のブランド魚だけに、普通のアジの3倍ほどの価格で取り引きされるという。
 金谷沖の特徴を列挙すればするほど、この釣り場の特異性が明らかになってくるが、もしかしたら、これが本来の姿なのかもしれない。
 ただし、浅場特有の弱点もある。深場よりも水温の変動は大きいし、潮が澄んでいれば、日が昇るにつれてどうしても食いは渋くなる。要するに、ムラが激しく安定感に欠けるわけだ。
 とはいえ、仮に浅場が今ひとつの状況でも保田沖の深場が控えているから心配無用。


 

 


 

 

Page1 当たり外れがあるのが浅場
Page2 浅場がダメなら深場があるさ



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