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[シロギス]
東京湾奥横浜本牧発…中ノ瀬 長崎屋

絶好調の東京湾シロギスを 胴つき仕掛けで堪能する。

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本誌APC(神奈川)/ 平林 潔
掲載号: 2011年3月15日号

初のまる一日胴つき

 


長崎屋のシロギス仕掛けといえば胴つき。いや~よく釣れました!


 胴つき仕掛けでシロギスを狙う船宿が増えてきて、あたかも新しい釣り方のように思われているかもしれないが、昔の本牧から横浜あたりは胴つき仕掛けが一般的だった。
 本牧周辺の古くからの釣り人たちは、テンビン仕掛けが全盛のころも胴つき仕掛けでシロギスを釣り続けていた。
 僕の釣り仲間で、何年も前に亡くなられた本牧の山喜さんもシロギスの胴つき釣りの名手だった。金田湾の和竿の大会で胴つき1本バリ仕掛けを使って優勝し、周囲に大きな衝撃を与えた。
 本牧の長崎屋は胴つきのシロギス釣りの歴史が脈々と受け継がれている珍しい船宿だ。
 メバル乗合を担当している息子(弟)船長などは、
 「僕は胴つき仕掛けのシロギス釣りしか知らない。テンビン仕掛けは難しそうで……」と言うくらい。子供のころからシロギス釣り=胴つき仕掛けという環境で育っている。
 突然に積もった雪もすっかり融けた2月16日の朝。落ちギスを釣りに本牧長崎屋へと車を走らせた。荒天が続いたが、波も静かでなかなかの釣り日和に恵まれた。
 シロギス乗合は親父船長である長崎恵夫さんが舵を握る。郷に入っては郷に従えというとおり、僕も胴つき仕掛けで終日通してみるつもり。
 元もとテンビン仕掛けでシロギスを釣り続けていた僕だが、最近はたまに胴つき仕掛けを使ったりもする。
 とはいえたしなむ程度で、あくまでもテンビン仕掛けが主体だから、終日胴つきで狙うとなれば一体どうなることやらとやや不安にもなるのだが、胴つき仕掛け一筋という常連氏たちの釣りをじっくり見てみたいという気持ちも強かった。
 定刻の8時半に6名の釣り人を乗せて本牧漁港を出た船は真っすぐ沖へと走り、中ノ瀬の水深20メートル少々へと走った。船長は、「中ノ瀬の20メートルくらいで良型ばかりバリバリ釣れていたんだけど、このところダメになった。30メートルを超える深場だと数は出るけど、中小が交じるんだよね」と出船前に話していたが、どうも良型狙いで中ノ瀬の様子を見てみるようだ。
 しばらく流したが、シロギスの顔は1尾見られただけで、あとはカミツキハゼばかり。
 そもそもアタリ自体が少ない。水温低下が影響しているのかもしれないなあ。
 船長はパッと見切りをつけて、9時には小柴沖の水深32メートルへと移動した。
 これが正解でバタバタッとアタリが出始めた。しばらくはカメラを手にして画撮りに専念。やはり20センチ前後が中心。15センチ級の小さいキスも結構交じるから、魚影がめちゃくちゃ濃いのは間違いない。小さいのが交じるということは、これから先も安泰ってことで悪くない話だ。
 さて、常連氏たちの釣り方を観察すると、まずは仕掛けをキャストしてから船下まで探ってくるのは普通だが、途中の誘い方が独特だ。
 しばらく待ってアタリがないと、スーッと大きく竿をシャクリ上げて仕掛けを手前に移す。そしてしばらく待ってからまたシャクリ上げるといった具合で、とてもシロギス釣りの誘いとは思えない。
 皆が皆そんな誘いだから、知らない人が見たらスミイカ船かアオリイカ船だと思うかもしれない。
 シロギスは静かにジワーッと誘うという感覚の僕にすれば、なんと乱暴な……と感じてしまうのだが、キューッとシャクるとククッと穂先が小気味よく震え、なかなかのハイペースで釣れ続けるからこれがまた不思議。
 たぶんシャクリ上げた仕掛けが底まで落ちるとき、フワーッとしたエサの落下で誘っているのだろう。


 

 


 

 

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