開始から1時間たったが、船中アタリはない。外道のサメやイシモチはポツポツ上がっているものの、本命は一向にヒットしない。
　しかし時合というものが必ずあるはず。カレイのラッシュを思い浮かべながらジッと待つのが持久戦のキーポイントだろう。
　ちなみに通常時は潮止まりの前と潮が動き出してからの前後30分ぐらいがチャンスといわれているが、そのほかの時間に突如食い始めることもあるので油断はできない。
　このセオリーに当てはめると、当日は11〜12時あたりが一番確率が高いことになるなあ……と思っていたら、幸せは突然やってきた。
　クッククック、クッククック〜ワタシノアオイサオ〜とシグナルが伝わる。
　もちろん早合わせは禁物。頃合いを見計らってゆっくり聞き上げると、グングンと下へ突っ込むような感触が伝わってきた。
　海面に見えたのは25センチの煮付けサイズ。さっと抜き上げたところで船長に、
　「大きいのは先週みんな釣っちゃったから、今日は小さいね」と冷やかされたが、そんな言葉とは裏腹にうれしそうな船長であった。
　場所を移動すると、今度は29センチがヒット！
　サイズアップした魚体を見つつ、今度が30センチオーバーでその次が40センチオーバーだなと欲の皮を突っ張らせて皮算用。先ほどまでの沈黙も、すっかり遠い思い出となっていた。
　ところが奇跡は本当に起きたのである。場所移動するたびに32センチ、そして42センチと良型が連発した。すごい、すごいじゃないか。ただし釣ったのは隣の人だけど。
　マコガレイも40センチ超えともなれば、堂々としていて貫禄もある。釣った方は薄造りにして一杯やるのかなあ。うらやましい。
　結局この42センチの後が続かなかったため、サイズは小さいが数釣りが望める中ノ瀬の18〜20メートルに移動となった。
　沖揚がりまで残すところ1時間だったが、手のひら級を中心にポツポツ釣れて皆さん一安心。そして15時に納竿時間となった。
　帰り際に船長は、
　「ここへきて大型が連発で釣れていますよ。暖かくなるにつれてカレイのお客さんが少なくなるんだけど、案外これからが狙い目。まだまだデカイやつも残っているでしょうしね。そうそう、ウチは大小お好みで狙い分けもしますから、安心して遊びにきてください！」と話していた。
　なお同船宿では土日を中心に出船しているが、平日も4名以上集まれば魚種に関係なく出船するので、仲間を誘って出かけてみてはいかが。船も釣り場も貸し切り状態で楽しめるはず！

［岩田屋］岩田一人船長