再び海堡寄りに移動した午後1時。本命はいまだ朝の1本きりだ。だんだん焦りを感じ始めた私、ここで本腰を入れて釣りをすることにした。
　海底は15〜17メートルのカケ上がり。付けエサが底スレスレないし10センチぐらい上を泳ぐよう、まめにタナ取りをした。
　その甲斐あってか、7：3調子のゲームロッドの穂先に押さえ込むようなシグナルが伝わった。じっくり待とうと思ったが、竿先が引き込まれるまでのインターバルは意外に早く、すぐに竿先は海面に突き刺さった。
　合わせと同時にリールを巻き上げると、竿はバットからグニャリと曲がる。
　船長によってタモ取りされたのは全長70センチのスズキ。これはこれでうれしいけれど、やっぱり本命が釣りたい。
　スズキとのヤリトリの感触が手に残る中、再び仕掛けを入れるとまたアタリがきた。はじめのコンコンがやがてグイグイとなり、最後はグイーンと引き込まれて重みが伝わった。
　合わせを入れて巻き上げる最中、何度か首を振るような強い引き込み。これは……もしかしたら本命マゴチ。
　船長の玉網に収まったのはてらてらと黒光りするナイスなマゴチ。全長61センチのビッグワンである。
　開幕直後は大型が狙えるチャンスというけれど、それが今日、私に釣れるとは夢にも思わなかった。ただただ船長に感謝である。
　さらに15時の納竿間際、私に60センチのスズキが掛かって、見事に釣りを締めくくることができた。
　釣果は船中5人でマゴチ2本とスズキ2本。数は思いのほか振るわなかったが、狙いどおりの良型を出すことができたのが幸い。
　今後の展望だが、水温が順調に上がればアタリも増え、数はのびてくると船長は語る。
　おそらく本誌が発売される5月上旬は16〜17度にまで達しているはずだから、期待は十分。毎日のように熱い駆け引きが繰り広げられることだろう。

［新明丸］新明利勝船長