午前10時過ぎ、息子の竿が大きく引き込まれた。船長が「良型のマダイかも？」というので期待して見ていると、明らかにイサキとは異なる重量感。やがて上がってきたのは、1キロ級のメジナとマダイ、そしてイサキのトリプルヒット。大ダイではなかったものの釣った本人はかなり満足げな様子であった。
　その後、潮が緩やかになり、イサキの食いも止まり始めた11時過ぎ、右ミヨシの方の竿が大きく引き込まれた。皆の注目を集める中、海面に浮かんだのは2キロオーバーのカンコ。ハリ掛かりしたイサキに食い付いていた。これがなんと、イサキの背ビレが口の中に引っ掛かって上がってきたようで、釣った本人も驚いていた。
　正午になり、船長から、「潮変わりでマダイ狙いのチャンスですよ」とのアナウンスが流れた。
　その直後、山口氏の竿が大きく引き込まれ、2.5キロのマダイをゲット。さらに10分後、再び山口氏の竿にアタリがあり、1キロ級のマダイを追釣。船長によると、潮がマシオ（下り潮）からニッチョウ（上り潮）に変わった瞬間に、マダイの時合が訪れるようだ。
　私たち親子も最後のチャンスと思い気合を入れるが、残念ながらマダイはヒットすることなく定刻午後1時の沖揚がりを迎えた。
　結局、この日は山口氏の一人舞台となり、2.5キロを頭に4枚のマダイをゲット。最初から最後までマダイ狙い一筋で粘り通した結果といえるだろう。イサキを狙った人たちは各自20〜30尾。3本バリで専門に狙っていれば50尾以上は釣れていただろう。
　船長によると、「基本的にイサキ狙いで出船しますが、マダイもまだまだ狙えます。マダイは日により5キロオーバーが登場しており、今後も大型が期待できるでしょう。イサキはこれから脂の乗りがピークに達し、食味も最高の時期となるので専門に狙うファンが多いですよ」とのことである。「二兎追う者は一兎も得ず」ということわざもあるが、懲りない私はとりあえず次回も二兎を追ってみようと思っている。

［若宮丸］土屋嘉公船長