「こうなるとブランコ仕掛けのアレンジが必要だね」と石井さんは10センチのハリスを3センチにした。乗りを取りやすいのはハリス1センチほどだが、使っている竿が硬かったことからバラシ対策として3センチの「ちょいブラ」にしたそうだ。
　ちなみに、直結仕掛けともなれば竿とのバランスが悪いと、ヤリイカの場合はバラシにつながってしまう。
　石井さんはハリスを3センチにしたことがよかったのか、連続でヤリイカをヒット。私も底付近で待望の乗りをとらえた。ところが慎重に上げてくると残り30メートルでイカが大暴れ。「突然、暴れだすね」
　ほかの方も「なんだろう。ここでバレてしまう」と話していた。「たぶん30メートル付近で水温が変わっているんだと思います」と船長。このラインをどうかわすかが釣果の分かれ目になりそうだ。
　数度潮回りをしたところで、河野さんの竿が大きく曲がった。慎重に上げてくるとなんとヤリイカ5点掛け。仕掛けは直結に変更していた。「今日の状況だと直結がいいかもしれないね。アタリが伝わるようになったよ」とうれしそうだ。すると右舷大ドモにいた明神さんは、「あっ黙って変えてたな。俺も変えてみよう」と直結に。私も石井さんと同じ「ちょいブラ」仕様に変更した。
　時折サバの猛攻にあうが、すかさず船長が潮回りしてくれる。「確かに今日はサバも少ないがスルメイカも少ない」と気が付いた。水温が徐々に秋に向かっているのだろう。その後も単発的ではあるがヤリイカの乗りがある。
　後半は城ケ島西沖にポイントを大きく変更。水深は110メートルほどで、80メートルまでを誘う。
　ここでいきなりヤリイカが船内各所で乗ってくる。石井さんもダブルの連続。私にも底付近で乗りをとらえ、竿のコントロールで一か八か多点掛けを狙ってみた。
　ころ合いを見て巻きに入ると大きく竿が曲がり、引きも強い。30メートル付近での手応えは緊張感たっぷりだ。
　上げて見ればスルメが1杯にヤリ3杯の4点掛け。
　この場所で数杯を上げて、再び城ケ島沖を狙って数杯をキャッチ。午後2時30分に沖揚がりとなった。
　シーズン序盤のテクニカルゲームの釣果は3〜19杯。この号が出るころ、ヤリイカも本格化してくるだろう。

［やまはち丸］出口　訓船長