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本誌編集長◎沖藤 武彦
掲載号: 2010年7月1日号
シンプルながら分からない釣り
沖揚がり直前。ほとんどの人が竿を置くことなく、誘い続ける
このあたりもアカムツ釣りならではかもしれない。シンプルだが理屈や予測が通用しないところが多分にあるのだ。
ちなみにアカムツ以上のペースで掛かってくるのがドンコ。竿先をブルブルッと震わせる明確なアタリはアカムツと似るものの、巻き上げとともに引きが弱まってくるので分かる。
船長は久里浜沖の、東京湾海底谷へと落ち込むヘリともいえる90メートル付近を神奈川、千葉側と探っていく。アタリがないと流し始めでも移動の合図が出るから、目星を付けていた場所を探っているのだろう。
そうこうするうち、船中で1人、また1人とアカムツを掛け、ていねいに玉網ですくい上げていく。昼を前にすでに3〜4尾上げている人も数人いる。
船宿で配られるエサはサバとドジョウ。別売りでホタルイカ。撮影がてらアカムツのくわえたエサを観察していたのだが、どのエサがいいといった傾向は見られなかった。
昼を過ぎて潮が止まると、底ダチを取り直した道糸が真っすぐ海中に消え、しばらくたっても深さが変わらないようになる。すでに船中ほとんどの人がアカムツを釣っており、船長は観音崎方面への移動を告げる。
観音崎沖では80、60メートルと徐々に浅い場所を攻め、右胴の間とミヨシで5尾が上がる。不思議なもので、このときは特定の2人だけが釣れた。
2時過ぎに沖揚がりとなった船中釣果は0〜7尾。平均3〜4尾といったところで、型は25センチほどが主体だった。
訓覇さんと私も本命を釣り上げ、料理撮影用を無事確保した。ちなみにこの日、訓覇さんは、「アカムツをどうやって食べるのが一番いいんだ?」と何回も聞いてきた。大先輩の質問に不思議に思っていると、なんと沖釣り歴ウン十年、私にとって生き字引的存在の訓覇さんをして、アカムツは初めてとのこと。
ここで初めて、表紙を飾る無邪気な笑顔のわけが分かったのであった。
[新修丸]新明 正義船長
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