この時期のアカムツは平場に散らばっているような状態だから、大流ししているうちにどこかでポツンとアタる感じだが、そのポツンの確率を高めるためには、やはり誘いを怠らないことが肝心。と分かっていても、1時間もアタリがない時間が続けば置き竿にしたまま船内をうろつくことになる。
　ようやく船中第1号が上がったのは開始から2時間ほどしてから。しかし、これは20センチクラスの小型。それでも貴重なアカムツだから文句は言えないが、欲を言えば常磐ならではの良型を見たいところ。
　ようやくそれらしきサイズが上がったのはそれからしばらくたってから。右舷トモの常連さんで、30センチクラス。続いて右舷ミヨシの方が置き竿で37センチ級を食わせる。
　その後は再び本命のアタリは遠のいたが、午後1時の沖揚がり直前に右舷トモ2番の常連さんが本日一番の大型、40センチクラスを上げる。諦めずに終日竿を手にして釣った、まさに粘り勝ちである。
　常磐のアカムツは9月中旬からが最盛期。そのころには平均サイズがアップし、安定して数も釣れるようになるはず。極上の底物を手にする絶好のチャンスだ。
　ちなみに加藤兄弟はドンコとメバルのお土産だけ。幻の高級魚は幻のまま終わってしまったのであった。ま、自分に関しては竿を手にしている時間が圧倒的に少なかったのだから致し方なし。あ〜あ、置き竿でも勝手に食ってくるような絶好調の日に当たらないかなあ……。

［幸栄丸］奥田 重孝船長