6時半前になると、釣れる魚がやってきた。グッと穂先が押さえ込まれ、続いてグーッ、グーッ……そしてキューンと大きく竿先が海に突き刺さった。
　竿は満月になったまま。これはデカそう。海底から離すのが大変だ。
　時間をかけて慎重に対処。途中の強い突っ込みで糸が出るようにドラグを調整し直し、竿でためてしのぐ。
　澄んだ海にユラーッとヒラメの姿が見えたところで、船長は大きめの玉網に持ち替える。取り込まれたのは3キロ級のヒラメ。
　この型がゲットできれば、
　「今日はもういいや」っていう気分になるかもしれないが、釣り人というのは欲張り。もっと大きいのをあと何枚……と、欲の皮が突っ張ってしまう。
　僕が釣り上げた直後には右ミヨシ2番で2キロ超えも取り込まれた。なんたって凄いハイペースでヒラメが釣り上げられているから、
　「これって、本当にヒラメ釣りなの？」と思うほど。
　9時ごろに狙った55メートルダチでは2キロ級の2枚目をゲットし、もうニコニコ。アタリがあっても食い込まなかったケースも何度かあった。悔しいけどこれもヒラメの楽しさのうち。「まあ……ねえ」という気分になる。
　右大ドモ氏の竿にはメーター級のシイラが引っ掛かって大変な騒ぎとなった。仕掛けを上げる途中でシイラがイワシに食い付いたようだ。それにしてもシイラの引きは強いのなんの。
　10時半前には同じ55メートルダチの別のポイントに移動。そこでクライマックスがやってきた。
　左舷で50センチクラスのホウボウが上がったのを皮切りにあちこちでヒラメが姿を見せた。ヒラメ祭りの開幕だ。
　ここで1キロ弱のソゲ級をゲットした僕は10時40分には2キロ半近い良型、そして10時50分には1キロをゲットして計5枚。
　ウッシッシ……だよね。しかも僕のヒラメはどういうわけか良型がそろっていたから、ウッシッシの2乗だ！
　まだまだ釣れる様子だったが11時に沖揚がりとなった。
　船中トップはコンスタントに釣り続けていた右舷ミヨシ氏でなんと10枚。竿をのされて大型をバラしたと悔やんでいたが、10枚も釣ればそれも帳消しだろう。
　2番手は左舷ミヨシ氏で8枚。3番手が僕を含めて5枚が数名。スソは1枚だった。
　同行の村上記者も撮影の合間に竿を出して3枚をゲットし、ウッシッシ。
　かくして大漁旗をなびかせながらの（これは冗談です）帰港となったが、これも片貝沖のほんの一部だけが解禁された状況下の釣果である。
　10月1日からはいよいよ全面解禁だが、そうなったら一体何が起こるのか？
　こりゃあ、片貝沖のヒラメ釣りから目が離せない！
　船長の話では、これから水温が下がってくればもっと大型が交じってくるということだから、内容もうーんと濃くなるはず。
　ヒラメの刺身と昆布じめは、もちろん最高でしたよ。

［正一丸］海老原三利船長