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本誌APC(神奈川)◎平林 潔
掲載号: 2009年11月1日号
おお、デカイ!
この時期のタチウオは難敵。釣り人冥利に尽きる相手と言えよう
心頭滅却すれば……オモリも軽し、かな!?
調子がいいときには、なんてことはない……って感じで釣れちゃうのに、機嫌が悪いと手の打ちようがなくなるのがタチウオ釣りだ。
笑ったり泣いたりと、タチウオにはずいぶんともて遊ばれてきた過去がある。
「うーん今回は手強いかも!」と頭を抱え、ハッと思いついたのが本誌APC仲間の矢倉登さん。ハリにフラッシャーを巻いたタチウオ仕掛けで釣果をのばしているという記事が昨年の号に掲載されていた。
しかも数カ月前に港でバッタリ出会った京急大津港.いなの丸の野地船長が、これがいいんだよと見せてくれた仕掛けにもフラッシャーが巻かれていた。
こうなると頼るべきはフラッシャーさま。さっそく、
「やあ、矢倉さん!」と本家本元に電話を入れてみた。
持つべきものは友だよね。
懇切ていねいに仕掛けの作り方と誘い方のアドバイスをしてもらい、さっそく釣具店へと走った。3号ストレートの環付きタチウオバリと、ケイムラ、ピンク、レインボーのフラッシャーを買い求め、せっせと仕掛け作りに励む。
われながらなかなかの出来映えで、いかにもタチウオのハートをくすぐりそう。夜のクラブ活動でフラッシャーウエアのオネエサンが登場したら……僕だってきっとクラクラだ。
9月28日、準備万端で三浦半島鴨居大室港の五郎丸へと走った。今日は風もなく、海も静かそうだ。
タチウオ釣りの近況だが、台風後に観音崎沖が不調になってしまい、五郎丸は安定して釣れ続けている金谷沖を攻め続けているようだ。
ただ前日の27日あたりから観音崎沖でも釣果が出始めたというので、ひょっとするといい釣りができるかもしれない。観音崎沖のタチウオといえば型がいいのが特徴。数はそんなにいらないから、オオッと思う型が釣れるのを期待したい。
僕を含めて3名の釣り人を乗せた午前タチウオ乗合は、定刻の7時20分に港を出て舵を左へと取った。やった!観音崎沖だね。
潮回りを繰り返して反応を探し、
「ハイ、どうぞ!」の合図が出たのが7時45分ごろ。
「水深は80メートル。底から20メートルくらいまで探ってください」とのアナウンスがあった。
矢倉さん直伝の手製フラッシャー仕掛けにサバのタンザク切りを付けて海底まで送り込む。
「フラッシャー仕掛けは止めたらダメ」というアドバイスは矢倉さんからもらっていた。
サビキと同じ擬似バリだから、そりゃあ止めてちゃ意味がないだろう。とはいえ夏のタチウオとは違い、あまり派手なアクションも禁物だろう。
そこで当面はスーッとゆっくり50センチほど誘い上げてから5秒待ち、また誘い上げるという動きを繰り返してみた。
8時15分過ぎだった。海底から10メートルほど誘い上げたあたりで竿先にクッとアタリ。そのままジワーッと上げてきたが、ハイさよなら。
こうなったら!
とアタリがあった付近をしつこく探ったが、やっぱりクッときておしまい。ああ、遊ばれてる。
「3度目の正直だ」とアタリがあったあとで細かくシェイクしてやると、一気にキュンと竿が絞られた。ホッ。
それにしても強烈な引き。ドキドキハラハラ。型もよさそうなので、ついついヤリトリも慎重になる。幸せを感じるよね、こういうときって。
海面近くにユラーッと見えたタチウオを見て、
「オーッ、やった!」と声を上げてしまった。それは観音崎沖ならではの良型。抜き上げてメジャーを当てるとなんと108センチで幅は5本指ほど。ふふふ……おいしそう。
これが船中第1号だったから、ラッキーな拾い物をした気分。このサイズが数本釣れれば申し分ない。
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