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[ハゼ]
東京湾奥深川 冨士見

老舗ならではの釣法で 絶好調のハゼを釣る!

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本誌編集部/ 斉藤貴伸
掲載号: 2010年11月1日号

貸し竿はすべて手バネ

 


今年のハゼは◎印でおすすめだ


 陸っぱりからのハゼは、だれでも簡単に釣れることから夏休みには子供たちの格好の遊び相手だったが、真剣に釣ろうと思えば、それなりのテクニックを身につけなくてはならないもの。
 沖釣りのハゼもその点は同じ。シーズン初期には、だれでも手軽に楽しめる釣り物に見えるが、数多く釣ろうと思えばテクニックを磨く必要がある。腕と釣った数が比例する釣り物と言っていい。
 乗合船が主に攻める木更津沖の今年の模様は、この数年では最もいい。水深3.4メートルのポイントで、10.15センチのハゼがひっきりなしにエサに飛びついてくるので、数にこだわらなければだれにでも釣れる。
 けれども、ただ釣れればいいと思って船に乗る人はいないだろう。初めて船釣りを経験する子供でさえ、道具に慣れれば無意識のうちに、いかにハリ掛かりさせるかに腐心するようになるものだ。
 それが遊漁の釣りとして100年以上の歴史を持つハゼ釣りの面白さの原点であって、今も変わりはない。
 慣れた人なら束釣りできる今期のハゼをいかに楽しむか。その一つの方法が、リールを使わず手バネや中通し竿での釣りになるだろう。
 
 深川の冨士見。夏には小型船での夕ハゼ、秋からは大型船のハゼ乗合を毎年出船するハゼ釣りの老舗だ。
 10月1日、午前6時過ぎに宿に着くと、船主の石嶋一男親方が店の前でスズメにエサをやっていた。スズメは人に慣れないと思うのだが、親方がエサをまくのを木の枝や電線に止まって待っているのが面白い。
 すでに冨士見の乗合船では頭が300尾を超える釣果が出た日もあるので、今年の模様はいいですねと話を向けると、まあまあかなと、決して大げさな返事は返ってこない。釣り客に必要以上に期待を持たせないのは、親切な対応といえるだろう。
 待合所の梁に取り付けた竿掛けに、年季の入った手バネが束ねられている。竹の具合から見て相当古い竿に見えた。
 それを尋ねると、50年ほど前にまとめて作ったハゼ用の貸し竿とのこと。
 驚いたことに今でも現役の竿だそうだ。親方に断って手にすると、しっかりとした布袋竹にグラス穂が継がれた6尺の手バネだ。グラス穂は後から継いだようだが、竹は当時のままのもの。
 冨士見のハゼ用の貸し竿は、今でもすべて手バネと聞いて、もう一度驚いた。さすがに老舗、手にした竿を借りて乗船した。
 この日は予報があまりよくなかったので、釣り客は私ともう一人だけだった。その人は渋谷サンスイ船釣り館の菅原さんだ。できたばかりのサンスイオリジナル中通し竿の「鯊はぜ九尺」(カコミ参照)の試し釣りを兼ねていた。
 定刻の7時半に出船。操船は若い登と藤とう船長。東京湾のハゼを知り尽くしているマーちゃんこと斎藤船長は今日は登藤船長のコーチ兼釣り手だ。
 木更津沖の初期の釣り場、自衛隊前に着いたのは9時前。水深は4メートルほど。仕掛けを下ろすと、ハゼが待っていたかのようにアタリが連続した。


 

 


 

 

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