この間順調に巻き上げた石井さんは大型スルメ。足だけぶら下がっているのはどうやらヤリイカ。ひょっとして……と直結仕掛けの野末さんを見ていると、やっぱり。直結仕掛けをたぐると次つぎとスルメイカが上がって、いきなり5点掛け。手巻きに直結、おそるべし。ご本人に聞くと、
　「スルメが昨日出たというので急に変えてみたんです」とのこと。スルメとサバが多いとあれば、直結仕掛けはその威力を発揮する。
　でも……こんな時にかぎって、私は直結仕掛けを持ってきていない（アチャ〜！）。
　右舷を見ると、森さんグループ3人もサバにつかまって苦戦していた。
　数回サバに邪魔されたところで潮回り。海上はウネリが大きく、船長もイカの反応を追いかけるのに苦労しているようだ。
　反応が見つかり投入すると今度は無事に着底。1メートル上げては3回シャクって、竿先を上げて止め、ゆっくり竿先を海面まで下げる、というパターンの誘いを海底から30メートルほど繰り返し、乗りがなければ再び海底へ。
　ウネリ、波ともに大きいので、細かい動きは何の誘いにもならないかもしれないが、海底から20メートル付近でようやく掛かる。
　やっときたよ、とよろこびつつ多点掛けを狙うが、ウネリでままならない。巻き上げ時には3杯は乗っていたはず……なのだが、徐々に引きが弱くなって、結局、上がってきたのはスルメイカ1杯。
　風も強く、雨が顔に当たると痛い。私を見た石井さんに、「泣いてるみたいだよ」と言われたが、確かに、心が折れそう。