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本誌APC(東京)/鈴木良和
掲載号: 2011年4月1日号
作戦変更が吉と出た!
まめに誘ってこそ楽しめるのがエビハナダイです
ふと釣友に目を移すと、石井さんの元気がない。どうやら強風と波で船酔いしたらしく、竿もキーパーに掛けたままだ。これでは釣果を望むべくもない。開始から1時間を経過した時点でわずか4枚という釣果だった。
「ダメだよ。それじゃあエサだけ取られるよ」と声をかけて再投入させると、
「キャー、引くぅ〜!」と歓声を上げた。
釣り上げたのは30センチのマダイであったが、その写真を撮り終えると、
「もうダメ。私の代わりに釣ってね。魚はもちろん私のオケに……」と言い残してキャビンに姿を消した。
「やれやれ、それじゃあ彼女のために釣りますか」と私も釣りに加わる。
オモリの着底を確認したあと、わずかにオモリを上げてアタリを待っていると、クッとした魚信をキャッチしたが、ハリ掛かりはしなかった。いったん仕掛けを回収すると5本バリの下3本のエサが取られていた。
そこで作戦変更。なるべく小さなエビを選んでハリを深く刺し込み、ハナダイの口元にハリが当たるようにしてみた。
さらに仕掛けと道糸のつなぎ目に中オモリを装着。中オモリを使ってタルマセれば、仕掛けのハリ(このときは5本)全部をハナダイの泳ぐ底付近に送り込むことができるだろうし、エサ付けや移動の際に風で仕掛けが吹き上がり、竿に絡み付くのを防止できる。
さっそくオモリを底に着けたまま、タルマセと聞き上げを繰り返していると、竿先をグッと押さえ込むような感触があったので、すかさず合わせを入れると22センチのハナダイが釣れた。
活性の高いときはカカカーンという元気のいいアタリが出るのだが、当日はかすかな違和感で合わせる釣り方が続いた。それでも釣れているときはまだよかったのだが、9時になって潮が止まるとまったく食わなくなった。
しばらく我慢の時が続いたが、1時間後に再び釣れ始めた。朝方連発したマダイの姿は少なくなったものの、ハナダイが果敢にアタックしてくる。私もダブルやトリプルを連発して数をのばす。
風も次第に収まってきて、海も穏やかになってきたところで石井さんも復活した。
ミヨシの伊藤さんは5点掛けを披露。アタリはトモ方向へと伝播していき、
「そろそろ私の番よ」と言っている石井さんの竿にもガガッとアタリが出た。
しかし、うれしさのあまりすぐに巻き上げてしまったために取り込んだのは1枚。
「もっと我慢しなきゃ〜!」という私のダメ出しに、照れ笑いを浮かべる彼女だった。
沖揚がりは11時半。ハナダイとマダイを含め船中30〜60枚。ほかオキメバルが1〜8尾とのび悩んだが、以降は150枚以上という好日もあり、当たり年であることを実感した。
[幸栄丸]上原正隆船長
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