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本誌編集部◎斉藤貴伸
掲載号: 2011年7月1日号
ピタゴラスの定理は通用せず
イサキの食い気はあるようだが、潮が速いため思うように攻められず苦戦している人が多い。前々日に降った大雨も、潮流に影響しているのかもしれない。
こんなとき、どんな釣り方をすればいいのか船長に聞いてみた。すると、
「道糸が斜めになっているとタナまで届いていないと思って、道糸を伸ばす人がいるでしょ。直角三角形を考えているのは分かるんだけど、それをやっちゃうとダメなんだよ。潮の加減は一定じゃないし、道糸は必ずしも直線ではないんだから、単純な計算式に合わせてもうまくはいかないものさ。底を釣ったりしてしまうからね。20メートルから上という指示では、潮が速くても20メートル以上は道糸を出さずに上を意識して探ったほうがいいよ」という答えが返ってきた。
つまり、道糸が斜め入っているとき、海面からビシまでの長さをピタゴラスの定理にあてはめて割り出したとしても意味はないということだ。
釣れ上がるイサキは20センチ以下のウリンボサイズに交じり、ときおり25〜30センチが交じるといった具合。しかし数はなかなかのびず、交じるアジ、マルアジ、ウマヅラのほうが多いほどだ。
船内で使われている仕掛けを見ると、ウイリー仕掛けが1番人気だが、先バリは付けエサ用としている人が多かった。イサキの食いが単発なときに傾向を見るためのパイロット仕掛けとして、定番の仕様だろう。
9時過ぎにやや深場の指示ダナ35〜30メートルのポイントに移動したがこちらも潮は速い。ただ、30センチクラスのアジがヒットしたり、ウリンボが3点掛けで釣れたりと忙しい釣りになる。
再び始めのポイントに戻ってから、右舷ミヨシの人がまずまずの型をダブルで釣り上げた。仕掛けはハリスを長めにしたオキアミエサの2本バリ。これがこの日のヒットパターンだったのかもしれない。
12時半に納竿となる。イサキ、アジ、ウマヅラ、カワハギ、その他と合わせて2ケタ釣っている人が多かったが、イサキだけを見ると、解禁日としては物足りない結果だった。
ところが、翌日の午後に正美船長に電話を入れてみると、潮の流れはトロトロで釣りやすく、朝から入れ食い。トップ70尾オーバーで早揚がりしたという。
1日ずれていたなら10年前の再現だったわけだ。これだから海は計算どおりにはいかない。
その後も剣崎沖のイサキは、絶好調といえる釣れ具合が続いている。
[成銀丸]山田 正美船長
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