午前11時、謙信丸は最後の勝負の場として勝手知ったる有間川沖の60メートルダチに移動した。
　「40メートルでコマセを振り出したら35メートルで魚信を待ってください！
　ここに来て本日最高の反応が出てきましたので頑張ってください！」と船長は檄を飛ばす。
　私は最後の力を振り絞ってコマセを振る。するとこの思いが天に通じたか、1キロ級を立て続けに2枚追釣するに至った。
　そして船長の、
　「この流しで揚がります！」とのアナウンスが出された途端、マダイの食いが最高潮に達したのだ。
　まずは右舷胴の間氏に2キロ級が連続ヒットすれば、左舷の初心者たちにも2〜3キロ級が連発する。
　皆さん釣れたマダイを掲げるときの顔はまさにアメを舐めたエビス様のよう。
　爆釣モードの中、わが愛竿も本日一番のしなりを見せ2.2キロ、そして1.8キロ級を仕留めることができた。
　正午に沖揚がりとなったが、私の釣果はマダイ0.7〜2.2キロ級が7枚。ほか良型ハナダイ多数が華を添えてくれた。なお船中最大は3.5キロであった。
　翌13日も引き続き謙信丸で夏のマダイを狙ったが、前日と打って変わり見事な釣れっぷり。中〜大ダイの爆釣となったのだ。まずは左舷ミヨシ氏の3.8 キロで幕を開けると右舷ミヨシでも4.5 、5.2キロと次第に型は大きくなり、船中最大となる6.6キロも釣れ上がった。
　こういった大ダイが盛んに回遊しているためだと思われるが、フロロカーボン5号のハリスもブチブチ切られている。
　前日のハリス切れは船中で2回しかなかったのに、今日のハリス切れの回数は数え切れない。そういえば毎年今ごろは私の釣友だれかが必ず10キロオーバーを仕留めている。
　ちなみにこの日の私の釣果は1キロ級1枚に終わり、ヘボ腕を露呈する結果となってしまったが、竿頭は左ミヨシ氏で2〜3キロ級を主体に計16枚という爆釣であった。
　いかに中小型主体の数釣りシーズンといえども、こういう日もあるのが上越のマダイ。まだまだあなどれないだろう。

［えびす屋釣具店　謙信丸］金玉武雄船長