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[アジ]
東京湾奥磯子発…観音崎沖 根岸丸

秋もやっぱり見逃せない 東京湾のビシアジ順調!

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本誌APC(東京)/ 鈴木良和
掲載号: 2011年10月1日号

大雨翌日の厳しい状況

 


台風通過後で釣れ具合が心配されたが、元気なアジが顔を出してくれた


 数多くの流入河川から、たっぷりと栄養分が注ぎ込まれる東京湾。干潟があるかと思えば深海も存在するという複雑な地形も手伝って、様ざまな魚種のゆりかごとなっているようだ。
 そのため季節ごとに色いろな釣り物が楽しめるのだが、今年の東京湾で最も釣れ具合が安定している釣り物がアジである。
 そこで以前から東京湾のアジを食べたいと言い続けていた釣友の塙くんを伴い、8月27日に東京湾奥磯子の根岸丸を訪れた。
 
 私たちを含む9人を乗せて出船したのは7時15分。乗船場を離れるなり、
 「今日の模様はいかがでしょうか?」と新井船長に尋ねてみた。釣行前日に記録的な豪雨に襲われた関東地方。雨水の流入量もハンパではないはずだ。
 「正直なところ、釣りはやってみないと分からないんだけど、下げの潮が止まる10時半からが勝負だと思う」というのが船長の答えだった。
 最初に到着したポイントは観音崎の北側。すでに12隻のアジ船が浮いている。
 「いいですよ〜。水深44メートル。潮が速いのでタナは底から2メートル上まででお願いします!」との合図が出た。
 私はすぐには竿を出さず、今日がビシアジ初挑戦となる塙くんのアシストに回る。彼に伝えたことは、余計な糸フケを出さないようにサミングしながら仕掛けを沈めること。着底後は道糸が立つまで何度か底ダチを取り直すこと。竿は手に持ち、適度な誘いを入れること。船長の指示ダナを守ることの4つ。
 ところが1流し目が終了したところで、
 「ああ……ダメだ。増しオモリにしましょう」とアナウンスが出て、船長が20号オモリを全員に配った。
 潮の速さは想像以上。これも昨日の大雨の影響なのか?
 二枚潮になっていたし、濁りもかなり酷い。
 130号アンドンビシの中に20号オモリを詰め込み、合計150号となったところで釣りを再開すると、右トモの野村さんが22センチの中アジを取り込んだ。
 直後に左トモの小沢さんも同級で後に続く。
 「おおっ! これはまずまずの型だな」そんな声で右トモ2番目の金子さんが取り込んだのは35センチのグッドサイズだった。
 今のところ潮はミヨシからトモに向かって流れているようで、どちらかというとトモ寄りでアタリが集中しているようだ。
 そんなとき、塙くんにも待望の魚信が訪れた。コクコクと動く穂先を見つめ、
 「これってアタリですよね?」と私に尋ねるので、
 「そうだよ」と答えると、彼は竿をキーパーに預けたまま電動リールのスイッチを入れて、高速で巻き上げを始めた。
 「ああっ、ダメ!」と叫んだのだが時すでに遅し。
 ただでさえ口が弱いことで知られるアジ。電動リールの巻き上げ速度はせめて中速で、竿も手持ちにしたほうがバラシのリスクは減るはずだ。
 しかし、傷心する間もなく彼に再びアタリが到来。今度こそ取り込もうと慎重に巻き上げていたが、突然ガガガーッと突っ込まれてハリスがプチン。
 「今のは間違いなくマダイだったね」と常連さん。
 彼の悲劇はなおも続き、3度目の正直とばかりに海面まで浮かせたアジは取り込みでバラシ。
 釣りをしていると、なぜか空回りしてしまう日もあるが、当日の彼は釣れないスパイラルに陥っているようで同情に堪えない。
 もっとも船中の釣れ具合もポツポツ程度。食いは渋く、群れは船下に着かず通過してしまうようだ。
 そんな中でも左胴の間に座っている郡司さんは、アオイソメの1匹掛けで確実に追加しており、声をかけてみたところ、
 「潮の濁りが強すぎるのでエサを目立たせました」とニッコリ。その郡司さん、
 「こんな魚も釣れちゃった〜!」と私に差し出したのはなんとタチウオ。
 「エサが目立ちすぎたのかなあ〜?」と苦笑いされていた。


 

 


 

 

Page1 大雨翌日の厳しい状況
Page2 後半は食いが立ってきた



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