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本誌APC(神奈川)/ 平林 潔
掲載号: 2011年11月15日号
いいね! しびれるね!
小さなハゼの引きが和竿で増幅されて、釣趣はより高まる
待ちに待った11時を迎え、僕は竿辰(さおたつ)作の9尺竿2本をセットして釣りをスタート。
両手に1本ずつ竿を持ち、ユラユラと交互に動かして誘うとすぐにアタリがあった。
竿を前方に突き出すような合わせを入れてスーッと竿を立てると、愛竿はキューンと曲がる。おおーっ、いいね!しびれるね!
ポカポカ陽気のベタナギの海で、そんな釣りをのんびり楽しんでいると浮世のあれこれも忘れられる。
ハゼが相手のことだから、アタリがあってもハリ掛かりさせられないことも結構多い。そういう意味ではハゼ釣りというのは何年やっていても難しいなと思う。もしパーフェクトに釣り上げていたらトンでもない数になってしまうだろう。
軟らかくて敏感な穂先がクッと微妙に押さえ込まれたところで、スッと機敏に合わせることができればバッチリなんだけどね。
納竿の14 時までぜいたくなひと時を楽しんだが、トップは200尾近くを釣っていた。船中の平均は1人50尾ほどとそこそこの釣れ具合だ。
釣ったハゼは小さいのは空揚げ。まずまずサイズは天ぷらにして食べたが、そりゃあウマイのなんのって!
冷や酒をチビリチビリやりながら食べれば「うーん……秋だねえ」という言葉が自然と出てくる。
そうそう!
もう少しハゼが大きくなったころに正月の甘露煮用として釣りに来ないとね。
中通しのハゼ竿は値段の安いカーボン製が釣具屋で売られているので、入門にはまずはそれを2本購入するのも悪くない。
また、江戸和竿でも比較的安価な普及品を作っている親方もいるので、そういった竿を購入するのも悪くない。
みんな人情味あふれる下町の親方たちだから、親身になってアドバイスしてくれるはず。
江戸和竿協同組合の職人のリストなどは和竿師「邦一(くにいち)」さんのホームページを参照するとよいだろう。
ハゼ釣りは水温が下がって釣り場が深くなるほど、型がよくなる代わりに難しくなる。だから気軽に楽しむならなるべく早いほうがいい。皆さんも一度は伝統の釣り文化に触れてみてはいかがだろう。
[吉野屋]吉野吾朗船長
Page1 秋晴れに映える和竿の弧
Page2いいね! しびれるね!
※本誌紙面では、カラーグラビア、仕掛図などがご覧いただけます。