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本誌発行人/根岸伸之
掲載号: 2011年12月15日号
仕掛けが下りさえすれば
釣ったサバをタンザクにしてエサにするが、もちろん持参したほうが手っ取り早い
まだいくぶん潮が速いものの、いち早く着底した人にはクンクンというアタリが出始めた。投入に手こずったりオマツリした人は1回パスとなる。以後は1流し1投を余儀なくされるが、オマツリ回避にはやむを得ないことだ。
この流しでは船中4尾のアカムツが上がる。いずれも30センチ前後のレギュラーサイズだ。私にとってアカムツは久しぶりの対面、薄紅色の魚体は見るからにうまそうだ。
あたりがすっかり明るくなった2流し目から私も竿を出してみる。200メートルの水深は着底ももどかしい。フワリと糸がフケたところで着底するが、すぐに糸が張ってしまう。相当のカケ上がりだ。
しばらく糸の送り込みを続けると、ググンと穂先が揺れるアタリがきた。永井さんもアタったようで、こちらを向いてピースサイン。
巻き上げにかかると、時折ググン、ググンと竿をたたく。これがアカムツの証拠だ。逆に船中でもポツポツと上がっているユメカサゴやドンコはただ重いだけ。どちらかと言えばオニカサゴに近いイメージだろうか。
上がってきたのは35センチ級のアカムツ。当地のレギュラーサイズらしいが、数少ない経験から言うと私の最大級かもしれない。永井さんも同級を取り込んで大喜びだ。
次の流しからアタリは活発になってくるが、船中で3〜4人は渋い表情で高速巻き上げ。同時にサバの活性も高くなって仕掛けが下りないのだ。
無事に着底した方にはほぼ確実にアタリがくる状態。サバの泳層は80メートルから上。投入して100メートルを通過すれば、ほぼアカムツを手中にできるわけだ。
船長には叱られるかもしれないけど、私はハリに付いたフラッシャーをカットしたり、なるべく大きめのエサを選んで付けるなどして対応した。
その結果、10時前の投入で今までにない大きなアタリをとらえた。しばらく待ってから巻き上げにかかると、青物用の竿が大きく曲がり込んでいく。
「大きそうだね〜」とすかさず永井さんが声をかけてくる。
「違う魚かもね〜」なんて答えながら、頭の中ではアカムツであってくれと願うばかり。
船ベリ停止が止まって、海中をのぞき込んで見るとオレンジ色の魚体が二つ。一荷釣りだ、それも1尾は確実にデッカイ。
取り込んだのは45センチ級のいわゆる「今日イチ」と30センチ級の本命。もうこれで十分である。
船中でもひんぱんに一荷釣りが見られるようになってきたが、同時にサバも元気いっぱい。泣いたり笑ったりの声が聞かれる中、11時に納竿となった。
船中では30〜45センチを2〜6尾、別船は50センチ級の大型も出て3〜7尾だった。数は少ないように思えるが、7尾を釣った人は、
「入れ食いだった」との感想。うまくサバの群れをかわした結果なのだろう。何よりオデコなしだったことも、魚影の濃さを物語る。
正月用の赤い魚にも打ってつけ、グルメ釣り師ならずとも片貝沖は見逃せない釣り場だろう。アカムツの味に改めて感激した私は、家族になんとか言い訳を作って再釣行を画策している次第である。
[正一丸]海老原 正船長
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