いきなり下の話で恐縮だが、孝進丸に乗り込んだお客さん同士、すぐに話題にのぼったのがウォシュレット付きのトイレだった。
　「他じゃあまり見ないけどこれはいい。仲間、とくにビギナーを誘うとき、きれいなトイレって決め手の一つになるよね」と盛り上がる。大川文博船長に聞くと、おかみさんのアイデアで設置したという。
　頭に浮かんできたのは、最近釣りに付き合わなくなってきたわが娘（小6）。これならぶつくさ言わないかもしれない。
　おまけに銚子のオキメバルは群れに当たればゾロゾロ釣れるし、アベレージサイズが30センチクラスとデカい。とかく、
　「釣れる魚じゃなきゃイヤだ」とのたまうワガママ娘を連れてくりゃよかったな……。
　子離れできない釣りオヤジの妄想とともに航程45分、犬吠埼沖の水深130メートル付近に到着する。
　ちなみに当日の出船時刻は4時45分。ゆっくり安全に走って、日の出のころポイントに到着するのを目安にしているそうだ。集合時刻も日々変わっていくので、事前に確認しよう。
　
　合図とともに釣り人8名が150号オモリをぶら下げたフラッシャー仕掛けを放り込む。付けエサは船宿で配られるサバの切り身のほか、別途販売しているホタルイカを試す人もいる。
　期待の朝マヅメ、大きな群れに当たったのは3流し目。左舷胴の間から竿を出し、セオリーどおり底から0.5〜1メートルくらいオモリを切って待っているとココンとアタリ。
　巻き上げたい気持ちをグッとこらえてジッと待つとガガッ、ガガッとアタリが増して、いよいよ辛抱しきれず電動リールのスイッチに手がのびた。