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本誌発行人/根岸伸之
掲載号: 2010年12月1日号
一度も移動なしの不思議
幅広サイズの中アジが入れ食い状態
ゲストにきた2キロ級のクロダイ
もう観戦も限界である。ほとんどの方がツ抜けを果たした8時半ごろから私も竿を出してみる。
バッテリーまで持参して電動リールで釣る私はこっけいとしか言いようがない。ついに納竿まで電気を使うことは一度もなかったのだから……。
ビシが着底し、1メートル上げてコマセを1回振り、もう50センチで1回、そして2メートルでアタリを待つ方法。これは終日変わらなかった。
アタリはタナを取ったとたんにやってくる。クンクンのあとにギューンである。何かと思えば25センチ級のアジ、40号のライトで釣っていることもあろうが、60号オモリも同じようなアタリ方。
掛かってからは軟調竿のほうが断然おもしろい。グングンと下へ下へと引く釣り味は、時折交じってくるサバとは大違いだ。これぞ水深12メートルのなせる技、というより超浅場ならではの気持ちよい釣り味だ。
まるでマジックのような入れ食いである。25〜30センチまでのアジが空振りなしで掛かってくる。あっと言う間にバケツには10尾を超えるアジが収まった。
ここでいったん竿を置き、船中を見て回ると、釣り座も関係なく、皆さん同じように釣っている。船長は無言のまま、常に船中に目を向けて船を前進、後退を繰り返す。
聞けばここは船1隻分の小さなポイントで、ちょっと外れるともう食わなくなるそうだ。確かに周りに船はまったくいない。結局、アナウンスが一度もなかったのは、移動もなかったからでもあった。
席に戻って再び釣り開始。依然としてアジの食いは活発。こうなると数を重ねるのは手返しと多点掛けと考えた。
ところが、これほど釣れるのに多点掛けを狙ってもなかなか2尾目が掛かってこない。おまけに待ちすぎると1尾目がバレてしまうのだ。加えて、大型ほど海面でバレてしまうのが悔しい。
そんな調子で午後1時に納竿。釣果は23〜38センチを41〜80尾。スソはもちろん私、トップは何かとお世話になったミヨシの常連さんだった。特筆すべきは皆さんが50〜60尾と平均して釣っていたこと、小型が1尾も交じらなかったこと。
私は22リットルのクーラーが満杯。皆さんが大型を持参した理由が判明した。ホームページを開設しない理由も、「あまり込んじゃうと常連さんにすまなくて」という今時めずらしいほど謙虚な船宿だった。
このポイントのアジは水温が15度を割る12月中旬までは釣れると言う。水深12メートルのマジックを味わうならお早めに。
[忠七丸]井戸貞雄船長
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