アタリが遠くなったところで潮回りをすると、左舷ミヨシの山田さんの竿が大きく曲がった。周囲の常連さんたちもぞろぞろと山田さんの近くに集まってきた。
　「あっ、バレたっ！」
　上がってきた仕掛けを見るとハリが伸ばされていた。
　「たぶんクロアナゴだよ」
　……残念。グロテスクな魚ではあるけれど、その姿を見たかった。
　興奮冷めやらぬ中でホタルイカを真ん中に、サバの切り身を上下にセットして再投入すると、すぐにいいアタリが出た。
　慎重に巻き上げると下のハリにシロムツ、真ん中にアカムツがヒットしていた。
　同じタイミングで右舷ミヨシの豊巻さん、隣の大堀さんも良型のアカムツを取り込む。
　ここまではよかったが、次の流しは少しアタリが遠のいたので、船長は、
　「少し深い所に行ってみますね！」とアナウンスを出して船を走らせた。
　やってきたのは下浦沖の160メートルダチ前後。良型が釣れやすいポイントだが、反面アタリは少ないらしい。
　「まあ、大型狙いだからね」と常連さんたちものんびり構えていたが、船中で一度もアタリがなかったため、下浦沖の130メートルダチに移動することになった。
　その直後、小型ながら私にアカムツがヒットし、船中あちこちでアカムツが上がり始めた。中でも圧巻だったのは山田さんで、アカムツのダブルを披露。1尾釣るのも大変な魚をダブルとはすごい。なかなか見られない光景だろう。
　交じるシロムツも少し型がよくなっているように思えた。
　当日のフィナーレを飾ったのも山田さん。150メートルダチを狙ったときに強いアタリをとらえ、30センチ級の見事なアカムツを取り込んだ。
　沖揚がりは14時半。船中釣果はアカムツがトップ6尾で、3〜4尾釣った人が多かったように思える。その他カナガシラ、サバ、ノドグロカサゴ、シロムツなどなど外道も多彩だった。
　これから本格的なシーズンを迎える東京湾のアカムツ。おいしい高級魚を狙いに行ってはいかがだろう。

［修司丸］エサに迷ったときはサバにしよう！