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[シロギス]
東京湾奥東大井発…富津沖 いわた

中通し竿で入れ食いに 富津沖のシロギス衰えず

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本誌編集部/斉藤貴伸
掲載号: 2012年8月1日号

楽しそうなグループ釣行

 


東京湾のシロギスの安定度はこの数年でも一番いいだろう
船長に見せてもらったハゼ竿は、古いながらも立派な作りだった
出船時から記念撮影が始まる。釣り場までも楽しい
初シロギスをゲット。誇らしげだ


 早めに船宿に着き、船上で道具の準備をしていた私に、
 「こんな竿があるんだけど」と岩田登行(たかゆき)船長が2本の中通し竿を持って話しかけてきた。見れば相当古い2本継ぎのハゼ竿である。見るからにいい布袋竹が使われており、「不知火(しらぬい)」と竿銘が打たれていた。
 「お客さんからもらったんだけど、いい竿でしょ。今は使う機会がないのが、残念なんだけど」
 秋のハゼ乗合が以前ほど盛んでなくなっているここ数年は、なかなか船で中通し竿を使う機会がない。
 とはいえ、まったく機会がないわけではない。登行船長が中通し竿を見せてくれたのは、私が湾奥のシロギス船に中通し竿を持って釣行していることを、知っていてくれたからだろう。
 
 ただ、見せてもらった竿は、ハゼに合わせて作られているので、オモリがやや重く、引きも強いシロギスに使っては、ちょっとかわいそうだ。今回もカーボンの中通し竿を用意してきた。
 大井町で生まれ育った私としては東大井というよりも鮫洲といったほうがピンとくる、いわた釣船店に釣行したのは7月1日の日曜日。
 天候は午後から小雨がぱらつく予報だったが、穏やかな日和が期待できたため、ライトアジ船、シロギス船とも賑やかに準備が進められていた。
 シロギス船は私を含めて17人。3名と10名のグループに、単独での釣行者4名が加わった形だ。
 10名のグールプの方がたは職場が同じらしく、世話役の方の指示のもと、若い方がたはテキパキと準備を進めていた。とてもよく統制が取れてはいるものの、おそらく初心者が多いのだろうか、実に楽しそうなのだ。
 50年ほど前に、父の同僚の人たちに交じり乗船したハゼ船を思い出した。まだ5歳だったが、船の釣りの楽しさを初めて知ったときの記憶は、今も鮮明に残っている。
 初心者が船釣りを始めるきっかけとして、グループ釣行が果たしている役割は、今も昔も大きい。それを考えるとシロギスやハゼは、初心者でも十分に楽しめるのでグループ釣行には貴重な釣り物だ。
 7時30分に出船し、釣り場の富津沖までおよそ1時間。羽田空港を回り込むように東京湾に出るため、発着する旅客機が間近に見える。多くの人が携帯のカメラで撮影していた。
 富津沖12メートルダチにパラアンカーを入れて釣り開始。早々に船中あちこちでシロギスが上がる。2週間前にも富津沖で釣ったが、そのときよりもむしろアタリは多いように感じた。
 シロギスの型がピンギスから20センチオーバーまでバラバラであるのは、好調が長続きする傾向と見ていいだろう。サイズが片寄っていると、ムラが出やすいのは他の魚と同じだ。
 「やった、釣れた」と大声を出して喜べるのも、グループ釣行ならではの光景。たかが20センチ足らずの小型の魚でも、初めて釣れたときは、だれにとっても記憶に残る一瞬になるはずだ。


 

 


 

 

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