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[イイダコ]
内房富津港発…富津沖 鹿島丸

富津のイイダコ開幕 今年も湧きは良好!

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フイッシングライター/竹川啓二
掲載号: 2012年10月1日号

サプライズゲストも

 


秋の訪れを感じさせてくれる釣り物です
▲手バネを巧みに操り攻略する常連の高橋由紀子さん
広範囲を狙えるのがスピニングタックルの長所


 内房富津港で9月からイイダコ乗合がスタートするとの情報を聞きつけ、初日の1日に鹿島丸を訪れた。
 マダコやエビスズキなど伝統的でマニアックな釣り物が多い同地区にあって、イイダコ釣りは秋の風物詩として昔から人気が高い。
 ラッキョウを使う独特のテンヤ釣法も最近では広く知られ、釣り初心者の、ファミリーや若いカップルが興味津々で訪れることも多いような気がする。
 水深だって3〜7メートル前後とお手軽なうえ、虫エサやフカセが苦手な人でも気軽にチャレンジできる。
 
 今回私は約3年ぶりのイイダコ釣りだったせいか気合が入りまくりで出船2時間前の4時半に到着したが、別船のタチウオ船を担当する鹿島孝夫船長は準備で忙しそう。最近の好調ぶりを反映し、船の前の階段にはすでに10個近いクーラーが並べられていた。
 そんな光景を眺めていると、イイダコ船を担当する大船長の鹿島伸元さんがやってきた。
 「なにしにきたオゥ(よく来たな!)」
 「イイダコはまだ時期が早いオゥ(竹さんなら大丈夫だ!)」
 と、いつもの気持ちとは裏腹なごあいさつ。そしておかみさんは、
 「今日は4人しかいないの」と受付場所となる軽トラの助手席で笑っていた。
 いつもの初日なら自慢の愛竿を手にしたイイダコマニアたちで賑わうのだが、厳しい残暑に臆したのかもしれない。
 定刻は午前6時半なのだが、予約者が全員集まったということで少し早めに出船となった。
 船はそろりそろりと岸壁を離れて船道に。そしてものの5分とたたないうちに釣り場に到着した。
 港の前が釣り場というのもイイダコ釣りの魅力。たとえ釣り場が遠くても15分もあれば到着してしまうので、道具の準備は出船前に整えておくといい。
 いつもなら撮影をしてから竿を出すのだが、周囲がまだ薄暗くてまともに撮影できない。そんな言い訳で手製の手バネに自作のテンヤを結んで投入した(もちろんラッキョウは縛ってある)。水深は5メートルである。
 ちなみにイイダコは決してラッキョウが好きなわけではない。エシャロットだってニンニクだってネギだって大根だっていい。要は好物の貝に似た白っぽいものなら何でもOKなのである。
 最近はダミーラッキョウなんていうのもある。腐らないから一度付ければ使い回しが利いて便利と評判で、本物のラッキョウより釣れるよと話すファンもいるほど。
 ほどなくして私は1杯目をキャッチ。2杯目は小型で、3杯目にズシリとした手応えで頭がピンポン玉大の良型がヒット。
 4度目の乗りは振り上げた竿が一瞬止まるほどの手応えだった。もしこれがイイダコなら特大サイズだが、釣れてきたのはサプライズゲストのコウイカ。富津沖では定番のゲストであった。
 ここまで釣って気持ちも落ち着いたので、竿をカメラに持ち替えることに。
 ところが船中全体を見渡すとイイダコの乗りはそれほど多くないようで、撮影にやや苦労する。それでもシーズン初期のセオリーどおり、大中小交じって釣れるし、テンヤに掛からない小ダコも多いようだ。この日同船していた常連の高橋由紀子さんも、
 「ヤダ〜! 小さすぎてポロポロ逃げていくんですけど……」としきりに嘆いていたので、今年もイイダコは順調に湧いていると考えていいだろう。
 大船長はポイントをどんどん変えてタコの着き場を探っていくが、開幕初日だけに手探り状態が続く。タコだけに、八方手を尽くす……とはこのことを言うのだろうか。


 

 


 

 

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