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本誌APC(長野)/ 高田 光
掲載号: 2010年12月15日号
昼のコマセダイ
午前6時に引き続き謙信丸にて出船。釣友は左舷ミヨシに、私はその下座に仲よく並んだが、今日の謙信丸は片舷4人ずつのゆったりした釣りとなる。
直江津港から30分ほどで上越市沖の60メートルダチに到着し、さっそく釣り開始。船長のアナウンスは、「コマセカゴをいったん海面下40メートルまで落とし、コマセを振り出したら35メートルまで上げてアタリを待ってください!」というもの。
期待を込めていざ初投入してみると、さっきまで勢いよく流れていたはずの潮がなんと止まっているではないか。
昨夜はあれほど我われをいじめ抜いた憎き速潮が、今はピタリと止まっているのである。潮が流れるときは流れ過ぎで釣りにならず、潮の流れがほしい今はこのありさま。
しかし予想に反しマダイの食いは思いのほか活発で、1流し目から果敢に食ってきた。まずは両舷大ドモに2キロ級のマダイがヒット。するとそれが呼び水となり魚信は胴の間に伝播し、最終的にはミヨシから2番目に座る私にも1キロオーバーが食い付いてきた。例え小型であってもまずはマダイの顔を拝めてホッとひと安心だ。
ここで船長は新調したエンジンのパワーを生かし、遥か彼方の柿崎沖までフルスロットルで走り出した。柿崎沖は大ダイの絶好の釣り場ゆえ、ぜひとも狙いたいポイントの1つである。
クルージングすること40分ほどで柿崎沖に到着。天気晴朗、天下の名峰米山が眼前にくっきりとその雄姿を現した。ここでは船長の指示も、「45メートルでコマセを振り出して、40メートルでアタリを待ってくださ〜い!」と力が入っていた。
しかしながら上越市沖ではあれほど頻繁に訪れたマダイのアタリが柿崎沖に来た途端、パッタリと途絶えてしまったのだ。
ここまで遠出したのに期待を裏切られた格好ではあるが、不釣の原因は朝一番と違いエサ取りが大挙して押し寄せてきたことに起因する。
やはり潮が動かないときほどエサ取りが活発化するものだ。それこそ海底にたむろするマダイがコマセに着き、上ダナまで浮いてくればエサ取りも消えるのだろうが……。
当然それまでは辛抱のコマセワークに徹するしか方法はあるまい。そんな中、謙信丸は食い気のある群れを探し回るのだが、ポカポカ陽気のせいか徹夜明けの私に睡魔は遠慮なく襲ってきた。
やはりマダイ釣りはまめなコマセワークが勝負の明暗を分けるもの。エイヤ〜ッと元気一杯にコマセを振り、しっかりと誘いを入れる釣り人にはポツポツとマダイも食っているが、ほったらかしの我われには音沙汰なしの厳しい状況であった。
午後2時に沖揚がりとなったが、船中釣果は悪潮にもかかわらず釣り人8名で0.8〜3キロ級が18枚とまずまず。私は1キロ級1枚にて船中スソに甘んじたが、竿頭は私の隣のヤングアングラーで2.7キロ級を筆頭に5枚のマダイを釣り上げていた。
[えびす屋釣具店 謙信丸]金玉文明船長
Page1 夜のブリ・ワラサ
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