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[ヤリイカ]
東京湾奥金沢八景出船のヤリイカ 一之瀬丸

ヤリイカ乗せまくりのラストチャンスは今だ!!

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本誌編集部◉加藤 智晴
掲載号: 2011年4月15日号

様ざまな不安を抱えつつも変わらぬ日常に一安心

 


沖ノ瀬~洲ノ 崎沖のヤリイカ はこれからが本番と言わんばかりに乗りまくっている
震災後の初出船となった当日は、どことなく初釣りに似た雰囲気があった
▲ 釣れるヤリイカは25~48センチと大中小交じりだった


 2011年3月11日は、多くの日本人にとって忘れられぬ日となったことだろう。もちろんただ一日だけのことではなく、今現在も困難な状況が続いており、決して楽観できる情勢にはない。
 そんな中にあって、釣りという遊びをすることに対して様ざまな意見があるが、ここではその是非は問わない。とにかく我われ編集部ができることの一つは、現場へ赴いて、その模様を誌面を通して読者の皆様へ伝えることである。
 
 今回のレポートは、震災から9日目の3月20日のこと。この時点では大きめの余震もまだ続いており、ガソリン不足も深刻な問題だった。多くの船宿で出船を再開させる週末ではあったものの、果たしてお客さんは来るのだろうか?
 そもそも自分が無事に船宿へたどり着けるのだろうか。道中、大きな余震がきて道路が封鎖されたり、宿に着いたら着いたで今度は津波に襲われるのではないか。
 そんな根拠のない不安にさいなまれつつも、心なしか交通量の少ない首都高速を何事もなく通り抜け、金沢八景の一之瀬丸に到着したのは午前6時前。
 もしお客さんがいなかったらこのまま帰ろうかなあと考えながら荷物を下ろし、船着き場へ向かうとすでに数人の釣り人の姿。顔見知りの船長たちと軽くあいさつを交わすと、サブちゃんが駐車スペースの案内をしてくれる。
 いつもの朝と変わらぬ雰囲気に、ちょっとホッとしたのが正直なところ。
 「なんとかお客さんも来てくれてるみたいですね」と社長の一之瀬徹也船長に話しかけると、
 「いつもの日曜日に比べたら……。それに3月中はもちろん、4月以降も仕立がほとんどキャンセルになっちゃって」とのこと。まだまだ予断を許さない状況は続きそうである。
 それでもこの日の一之瀬丸はヤリイカ、深場、マダイ、アジと4隻が出船。自分が乗ったのはヤリイカ船で、5人グループが2組入ったこともあり、18名の大盛況で定刻7時30分に出船となった。
 1時間少々走って着いた釣り場は沖ノ瀬。湾奥以外にも三浦方面のイカ船が散見される。潮回りのあと、一之瀬竜也船長は180メートルダチで最初の投入合図を出した。
 多くの人が不安に思っていることとして、果たして地震前と同じように魚が釣れるのかということがあるだろう。まあ地震前に食い渋ったという話は聞いたことがあるが、地震の後だから釣れないという話は聞いたことがないので大丈夫とは思う。
 ともあれ右舷ミヨシから7本ヅノ仕掛けを投入すると、サバにつかまることなく無事着底。自分のいる右舷では乗りはなかったようだが、左舷ではスルメ交じりでポツポツ乗せている人もいる。とくにミヨシの方はのっけからヤリイカばかりの5点掛け。どうやら沖ノ瀬のヤリイカに限っていえば、地震の影響はないようだ。
 イカがいることを確認してからは、船内撮影に専念する。
 乗りのほうはよくもなく悪くもなく、依然としてポツポツ。5人グループはいずれもヤリイカ初心者とのことだったが、仲乗り役の高橋直人船長がていねいに釣り方をレクチャーしていたから、皆さんそれなりにお土産を確保していた。
 ところが開始から1時間もすると、乗りのほうはだいぶ低調になってきた。どちらかというと、今日はあんまりよくないなあと感じる釣れ具合である。
 「反応あるの?」と竜也船長に聞けば、
 「あんまりないねえ。水温が下がったのか、ヨゴレみたいのが多くて」とのこと。
 一之瀬丸の竜也船長といえば、湾奥でも屈指の釣らせるイカ船長。その船長がダメだと言うのだから、これは期待薄か。まあ沖ノ瀬とは思えないほどのベタナギの海で震災後の釣りを再開できただけでもよしとしよう。


 

 


 

 

Page1 様ざまな不安を抱えつつも変わらぬ日常に一安心
Page2 空振りなしの入れ乗りが沖揚がりまで続く



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