夏本番となり、駿河湾では良型のスルメイカが好調に釣れ始めた。この釣りの魅力の1つに直結仕掛けでの多点掛けがあげられる。今年から直結仕掛けを使いはじめたばかりの私だが、釣行を重ねるにつれて徐々に釣果ものびてきて、面白さも増してきた。
　
　スルメがドカ乗りすることを期待しつつ7月11日に訪れたのは駿河湾用宗港の興英丸。午前4時に港の集合場所に到着すると4名の釣り人が集まっていた。
　やがて興津勝義船長が到着し、釣り座を決めるくじ引きが行われた。私は左舷大ドモを引き当て、4時半に出船となる。
　駿河湾のスルメイカ釣り場といえば御前崎沖がメインとなっていたが、数日前から石花海の状況も上向いているとのことで、当日は石花海を狙ってみることになった。
　用宗港から石花海までの航程は1時間ほど。興英丸のキャビンには2段ベッドも備えられているため、ポイントに向かう道中は熟睡することができた。
　午前5時45分、船のエンジンがスローダウンしたのでキャビンからはい出すと、冬のヤリイカ釣りでは見たこともないベタナギ。周囲には多数の船が集まっており、期待を高めつつタックルをセットした。
　私の仕掛けは14センチプラヅノを12本結んだ直結仕掛け。イカヅノは駿河湾では定番のさかな針のダブルカンナを選んだ。ほかの方がたの仕掛けを見ると、ブランコと直結が半々といったところ。
　船長は魚探を見ながらイカの群れを探していたが、浮かない表情をしている。
　「いや〜、イカの反応がまったくないよ……まずいね」とのこと。とりあえず午前6時の時報とともに水深208メートルで第1投となったが、全員空振りに終わる。
　脳裏を不安がよぎったが、2投目に私の竿に乗りがあり1杯ゲット。さらに3投目、4投目と連続して3杯掛けで、開始1時間でなんとかツ抜けを達成した。前号のレポート釣行の際、葉山あぶずり港.与兵衛丸の常連氏から教わった落とし込みでイカの触りを察知して掛ける釣り方が大いに役立ったのだ。
　この間、ブランコ仕掛けの人は投入のたびに手堅く1〜2杯ずつ釣り上げていたが、直結仕掛けを初めて使った人は不調の様子。
　しかし7時半になるとイカの乗りは完全に止まってしまい、職漁船も不調の様子。
　この様子に船長は御前崎沖へ移動すべきか迷っていたが、ここから御前崎沖まで移動すると1時間半はかかるとのことで断念。
　その後1時間ほどポイント探索が続き、180メートルダチを転々と探っていったが船中だれも乗りはなく、諦めムードも漂ってきた。