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本誌APC(埼玉)/釜井昌二
掲載号: 2010年6月15日号
不吉な濁り潮が…
これはニセイカとも呼ばれるスルメとムギの中間サイズ
イカの中で食味の点で私が最上位に格付けしているのはアオリイカでもマルイカでもなくムギイカだ。
ご存じのとおりムギイカは小型のスルメイカで、刺身はもちろん、火を通しても身は柔らかで、甘みが濃く絶品なのだ。
その呼び名の由来は初夏、麦の穂が出るころに釣れるからだとか。たしかに今、私の住む埼玉では二毛作の麦の穂が田園一面を覆っている。
ムギイカが釣れ始めたとの報で、さっそく5月14日に相模湾へ。お世話になったのは腰越港の飯岡丸だ。
ゴールデンウイーク明けに開幕し、連日多点掛けも見られる好模様。ムギイカは釣期が短く、例年どおりであれば5〜6月いっぱいの約2カ月間で終了。美味なるムギイカを思う存分味わうためには、タイミングを逃さず釣行するのが鉄則だ。
今回はムギイカ釣り初挑戦の山川氏とともに乗船。山川氏はヤリイカ釣りの経験はあるので、船長がすすめる11センチプラヅノ7本のブランコ仕掛けからスタート。
直結大好き人間の私は、11センチプラヅノ9本に紅白のウキスッテ2本を加えた仕掛けをセット。
三浦徳人船長によれば、目下11センチのプラヅノへの乗りがピカイチとのこと。市販の仕掛けを購入するなら、ヤリイカ用を流用すればOKだ。
当日は、釣り手として乗船したマルイカ船担当の関塚一浩船長も、手釣り仕掛けの下部に数本のプラヅノをセットしていた。
6時に出船。5人の釣り人を乗せて走ること20分ほどのエボシ沖が最初の釣り場だ。
船は反応を探して旋回。そしてゴゴゴゴッと音を立てて減速。イカ釣りならではのこの船の動きを感じるや、オモリをつかみ、投入に備える。「水深は40メートル。27メートルより下をやってみて」
アナウンスを聞くやいなや、全員が投入。
すると右ミヨシの山川氏が着底と同時に乗りをキャッチ。すぐに巻き上げた仕掛けの先には胴長15センチほどのムギイカが3杯付いてきた。
これは幸先がいいと船上を見て回るも、この3杯のみ。群れの移動が速いようで、すぐに旋回となった。
続けて投入した45メートルダチでは乗りはなし。ややあっての3投目は少し深めで投入合図。「水深78メートル。上から20〜40メートルあたりをやってみて」
ここで左トモのベテラン氏に乗りがあり、先ほどよりひと回り大きなムギイカが取り込まれた。
いよいよ時合かと思いきや、またしても続かない。海面を覗くと、ずいぶんな濁りよう。沖から入った濁り潮が悪影響しているのだろうか……。
模様が好転しないエボシ沖に見切りをつけた船は大磯沖に移動。しかし、こちらもパッとせず、数隻の船が浮かぶ二宮沖へと移動となる。
「まあ、イカ釣りではこんな移動は日常茶飯事。最後の1時間で爆釣してクーラー満タンなんてこともあるし、一日に一度はいい反応に当たるものさ」
山川氏と前向きな話をしつつ、その時を待った。
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Page2 乗り渋りにはブランコ
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