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本誌APC(東京)◎鈴木良和
掲載号: 2009年12月1日号
第1投からバリバリ
今年もいい滑り出しをみせた鹿島沖。今後も楽しみですね!
流し方にかかわらず、まめに底ダチを取るのが基本だ
夜も明けきらない暗闇の中、鹿島港では大勢の釣り人が急ぎ足で行き交っていた。船の明かりに照らし出されるその顔は、期待で高揚しているようだ。
11月1日は鹿島沖のヒラメ解禁日。今年は日曜と重なって例年に比べて釣り人の集まりもいい。本日お世話になる利喜丸は4隻出しの大盛況である。
かくいう私も解禁を心待ちにするファンの一人。昨年の解禁日に6枚のヒラメを釣ったこともあって、あわよくば今年も……と心を躍らせてしまうのだ。
今回は私たちのグループ22人で船を仕立ていたのだが、さすがにこの人数では乗れず、4名が乗合船、18名が仕立船に分乗することになった。
出船は5時半。最初に到着した釣り場は鹿島港の真沖で水深は35メートル。
海底は平坦な砂利場で、所どころにツブ根が存在するという。根掛かりは比較的少ないポイントのようだ。
潮回りをしている間に仲乗りさんがエサのマイワシを配ってくれた。イワシのサイズは15センチほど。中羽の扱いやすい大きさだ。
ヒラメ釣りではエサ付けも重要なファクターのひとつ。しっかり付けておかないと、ヒラメの最初の一撃でエサが外れてしまうからだ。
イワシの上アゴの硬い部分へ親バリを、孫バリを背ビレの後ろに素早く刺してタルに泳がしておく。
注意したいのは、エサを泳がせているときに循環水のホースをタルから外しておくことだ。そのままにしていると、イワシが泳ぎ回ってハリスがホースに絡みついてしまうからだ。
「やってくださ〜い」という船長の号令で一斉に仕掛けが投入された。
着底を確認したところで糸フケを取っていると、ガクガクと私の竿がたたかれた。
「え? もうアタリ?」
そんなに都合よく掛かるわけがないだろうと半信半疑の私だったが、間違いなく魚信である。
胸の高鳴りを抑えつつ、竿が海面に突き刺さるようなアタリに竿を立てると、ハリ掛かりらしき手応え。
「お! さっそく鈴木さんが掛けたよー」と船長がマイクで船内中に知らせてしまったので、これはバラすわけにはいかない。
慎重に巻き上げていると、なぜだか急に横へ走り始めた。
「こりゃあヒラメじゃないな」
案の定、上がってきたのは40センチのイナダ。
しかしこの流しでは野島さんが初物を釣り上げたのを皮切りに4枚のヒラメが取り込まれた。次の流しでも4枚のヒラメが上がったものの、私には再びイナダ……。
気を取り直して次の流しに期待を込めて投入すると、コツコツとしたシグナルが伝わってきた。しかし直後に道糸が横に持っていかれた。隣の富岡くんがイナダを掛けて私とオマツリしてしまったのだ。
私もそのまま仕掛けを回収したのだが、イワシを見てビックリ。ガジガシに噛まれているではないか。やはり先ほどのシグナルはヒラメだったらしい。
いつもならこのまま失速して終わってしまう私だが、今日は違った。
Page1 第1投からバリバリ
Page2 今日の私はいつもと違う
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