Check
フィッシングライター/山口 充
掲載号: 2012年3月1日号
石井さんだけが釣れる?
じっくり誘ってアマダイを食わせよう!
昨年から好調に釣れ続いている相模湾のアマダイは、冬の味覚と呼ぶにふさわしい高級魚。すでにシーズンも後半に差しかかっているかと思いきや、今回お世話になる腰越港孝太郎丸の金子勝彦船長によると、
「今シーズンは例年に比べて長く楽しめそうです。2月以降も平日はマダイとリレーで、休日はアマダイ船とマダイ五目船でそれぞれ出船する予定です」とのこと。
それならばとアマダイとマダイのリレー釣りに向かうことに決めたのだが、よくよく調べてみれば孝太郎丸をはじめとする腰越港のアマダイ船では、年に1尾釣れればラッキーと言われる幻の魚、シロアマダイが立て続けに上がり話題になっているらしい。それもほとんどが1.5〜2キロ級の良型で、一日に2尾手にした人もいるとか。
これは千載一遇のチャンスだ。なんとしても幻の魚を手中に収め、味わってやりたいものだ。
1月31日。朝の腰越港は厳しい寒さに包まれていた。船宿に到着すると、
「ご苦労さまですね!」と大おかみさんが出迎えてくれた。アマダイの釣れっぷりは分かっているので、マダイについて尋ねてみると、数日前にトップ5枚とこれまた上々の釣果である。
定刻7時、朝日を浴びながら腰越港を出船。まずは江ノ島沖の50メートルダチでアマダイを狙うことに。
前日は荒れ模様だったというが当日もいくらか少し波があり、底荒れが心配になる。
オモリが着底したあと、船の上下でオモリが底に着いたり離れたりを繰り返す底トントンの状態でアタリを待つ。
いつアタリがきてもおかしくない状態だけに、私も石井さんも無口になってしまう。
沈黙を破ったのは石井さんだった。
「これはアマダイじゃない〜!」とつぶやきながら上げたのは大型のクラカケトラギス。刺身で食べられそうな丸まると太った1尾であった。
次に掛かったのはオキトラギスで、こちらも良型。
さらに、ゆっくりとした誘いを繰り返す石井さんが再びアタリをとらえた。ようやくアマダイがきたかな〜と思ったが、上がってきたのは良型のホウボウ。
ここまで石井さんに押されっ放しだったが、ようやく私にもアタった。しかし引きの感触がアマダイっぽくない。ゆっくり巻き上げてみればアジのダブル。どちらも型は小さかったけれど、数がそろえばそれなりの料理が作れるのでキープする。
次のアタリもアジっぽかったが、追い食いを狙おうとしたとき、急に抵抗が大きくなった。
アマダイがほかのハリに掛かったか。それともアジに何かが食い付いたのだろうか?
ゆっくりとリールのハンドルを回しながら竿を立てたが、途中で重みが消えてしまった。巻き上げてみるとアジに噛み跡が付いていた。
ああ……悔しい。船長によればヒラメの可能性が高いとのこと。
そんなときに再び石井さんがヒットさせた。しばしの巻き上げのあと、海面に浮いたのは小型ながら本命アマダイ。最近いつも石井さんに先を越されてしまうので多少の悔しさはあるのだが、こうして本命を釣ってくれるからこそ取材が成立するのである。
さらに石井さんの竿にアタリが訪れた。今度はアマダイ以上のビッグファイトを展開しており、船長も玉網を片手に操舵室を飛び出してきた。
タモ取りされたのは良型のホウボウ。しかもダブルだ。
Page1 石井さんだけが釣れる?
Page2 色いろ試してみたが…
※本誌紙面では、カラーグラビア、仕掛図などがご覧いただけます。