周囲には10隻以上のカツオ船がひしめき、竿を曲げてファイトしている姿も見える。
　魚の足がかなり速いようで、アタリがないまま1流し1投のペースで群れを追うことおよそ40分。
　「食ったぞ！」の声にトモに駆け付けると左トモの貸し竿のお客さんの竿が根元から曲がっていた。しかし、魚がよほど大きいようでロッドキーパーに竿を掛けたままなすすべもなくバラシ。仕掛けを回収すると接続金具が吹っ飛んだようでテンビンごと仕掛けが消えていた。
　さらに、これとほぼ同時に右トモでもヒットしたのだが、こちらは26号のハリスがブチ切られてバラシ。
　「相手がでかすぎる。キハダの群れだ」と船長。それでも想定外の大物に翻弄されたままで終わるまいと全速で追撃を試みる。しかし、この後アタリが訪れることなく再び探索が始まる。
　無線の情報ではルアー船で15キロのキハダが上がり、エサ釣りの船では推定40 キロ級を海面下まで寄せたが取り込めずにバラしたようだった。
　再びカツオの群れをとらえたのはお昼前。ほどなく船団ができ土肥〜戸田沖へとカツオの群れを追いながらの移動が始まる。
　「20メートル」の合図が出たこの第2ステージで、船中1号のカツオを釣り上げたのは右胴の間で竿を出していた同行の豊田さん。1キロ級とやや小ぶりではあるが、弾丸のごとく疾走するカツオとのファイトに大興奮。
　次の流しは全員貸し竿の人が並んだ左舷で3人同時にヒット。アッと言う間にオマツリしたので万事休すと思われたが、船長が的確に指示を出して1本ずつ順に取り込み無事3人とも1キロ級の本命を手にする。
　この間に右トモでも1本上がったようで「さあここからだ！」とだれもが思ったはず。しかし、無情にもそれ以後はアタリが訪れることなく、13時に納竿となった。
　当日はシケ後の荒食いどころか一日の大半を群れの探索に費やす結果となったが、その翌日は4〜5キロ級を主体にトップ2ケタをマークする船が続出、吉田丸も好釣果に沸いたようだ。
　回遊魚のカツオ相手だけに今後の予想は難しいが、キハダを含め9月以降も駿河湾で釣れ盛っていることを期待したい。

［吉田丸］吉田 澄夫船長