待望のシマアジがアタったのは開始から約20分後、右ミヨシのやぶさんの竿先がバタバタッと震えた。
　「おお、食ったね。あんまり大きくないけどさ！」余裕綽々しゃくしゃくのファイトで取り込んだのは1.5キロ。30ページで紹介したように、やぶさんの仕掛けはウイリーバリ2本と空バリ2本の計4本バリだが、このシマアジが食ったのはオキアミを付けた空バリ。釣り方はもちろんベタ底狙いだ。
　続いてアタリをとらえたのは左トモ2番に座る佐藤さん。チームエイトの中でも最精鋭部隊と言われるの釣魂会の中心メンバーで、今ややぶさんよりもシマアジを釣ると噂される凄腕だ。
　ドラグを効かせつつ、じっくりと巻き上げて取り込んだのは当日最大の1.8キロ。やぶさんのシマアジは空バリだったが、これは夜光ウイリーを巻いたハリに食い付いていた。
　次のアタリをとらえたのも佐藤さんで1.5キロ級。これは白いウイリーを巻いたハリに掛かっていた。やぶさんはエサだったが、佐藤さんは2尾ともウイリー。やぶさんに比べて佐藤さんは誘いのペースがいくらか早かったから、バケにアタリがよく出ていたのかもしれない。
　開始から1時間あまりで船中3尾もキャッチ。このほかシマアジらしきバラシも船中2回。
　「今日は7〜8尾釣ろうかな、お前（村上）にも土産を持たせてやるよ！」
　やぶさんからそんなコメントが飛び出すほど、活発にアタっていたのだが、潮が止まると同時に魚の食いもストップ。必死の誘いを入れるも、顔を出すのはイシガキダイ、イサキ、サメ、カサゴ、ウスバハギといったゲストばかり。結局本命の数をのばせぬまま13時の沖揚がり。
　釣果は1.5〜1.8キロのシマアジが計3尾。思いのほか釣果がのびなかった解禁翌日だったが、以降は徐々に回復傾向にあるようで、他船では早くも頭6尾などという好釣果も飛び出している。もちろんこのあとも潮況次第で釣果は上下するだろうが、シマアジの魚影が例年以上に濃いことは確か。これからも要注目の釣り場といえるだろう。

［和義丸］右から鈴木一義船長、 仲乗りの三好克樹さん