それにしても、潮が動かないためアタリがちっとも続かない。いったん竿を上げて船内の観察に回る。
　渋いなりにもダントツのペースで上げているのが左舷ミヨシの若船長。
　オモリが着底したら1メートルほど上げた状態で竿をほぼ水平に構え、そのまま微動だにせず竿先の変化に集中するスタイル。
　もっともユウジさんや斉藤のように、仕掛けを投げて絶え間なく誘い続ける方法も、今日のように潮が動かない日は有効だ。
　どうもフグ釣りの場合は、微妙なアタリが取れるかどうかが勝負だから、状況に合わせて釣り方を変えるより、自分に合った釣り方を決め、それを磨き上げることで対処したほうがいいような気がする。
　結局、状況は最後まで変わらず、11時過ぎに沖揚がり。釣果は16〜32センチのフグを、左舷大ドモの大槻さんと若船長が21尾ずつでトップ。平均14〜15尾、不慣れな自分は8尾と不甲斐ない成績に終わる。
　その後もトップで20尾台の釣果が続いているが、潮さえ動けばいきなりリミットの80尾近く上がる日もあり、魚影そのものは決して薄くないことが分かる。
　また、当日の水温はなんと20.1度。この時期の外房としては異常な高温が続いている。水温が順調に下がり、散らばっている群れが固まれば、いかにも外房らしい釣れっぷりが復活するに違いない。

［長福丸］藤井敏昭船長