やや潮が速いので1流し1投ペースとなったが、毎回ハズレなしでアタリがくる。かつてはイサキ専門で漁に出たこともあるという土屋船長、船をイサキの群れに当てる腕前はさすが。
　やや強い北東風にあおられ、
　「仕掛けが長いから絡んじゃうね〜。マグネット板を持ってくればよかったよ」と頭をかいている深見さんもバケツは見る間にイサキで埋まり、南伊豆の魚影の濃さに驚いている。
　しばらくすると水深60メートルの深みへ移動し、
　「45メートル」という指示。聞けばマル秘ポイントらしく、ハリ掛かりしてくるのは30〜33センチの良型ばかり。船長はあの手この手で楽しませてくれ、各自のクーラーはどんどん重くなっていく。
　3本バリの下バリだけオキアミエサ、上2本は白いアジカブラ。手返し重視の仕掛けで淡々とイサキを取り込んでいる山田さんには、途中で強烈なアタリも到来。残念ながらスッポ抜けに泣いてしまったが、引き込みからしてマダイだろう。
　11時を過ぎたころにはタナ35メートルの場所で、河野さんと深見さんが連続してハリス切れ。イサキしか念頭になかったので、ドラグをギチギチに締め込んでいたそうだ……。
　「このポイントでくるのはマダイ。今日はけっこう反応が出てたんだけどねぇ」
　ちょっぴり無念そうな船長の声を耳にしながら12時過ぎに沖揚がり。とはいえこちらは、もうお腹いっぱいだ。
　「目標は30尾だったけど、倍以上釣れちゃったよ。南伊豆まで足をのばしてよかった」と深見さんも満面の笑顔。
　船宿に戻るとおかみさんが、いっぱい釣れたイサキの調理法をあれこれと教えてくれた。中でも我が家で好評だったのは、おかみさんイチおしの開き干し。子供と一緒に、隅まで箸で突っつくおいしさだった。
　「オマツリさえしなければ、超ライトな道具で遊んでも全然構いません。人それぞれのイサキ釣りを満喫してください」
　船長のこの一言に、どうやっても釣れる南伊豆の余裕を感じてしまったのは私だけ？

［光明丸］土屋 臣嘉船長