私も10時過ぎから竿を出す。仕掛けが着底したら底ダチを取り、底から50センチ上げてアタリを待つ。そして時折1メートルほど竿先を上げ、ゆっくり仕掛けを下ろすイメージで元の位置まで誘ってみる。
　しばらくしてコツンと小さなアタリがあり、そのまま待つと今度はキュッと竿先が曲がる。ここで合わせたいのを我慢してやり過ごすと、すぐにガツガツガツと強いアタリが到来。ここだ！
　とばかりに竿を立てるとハリ掛かりした手応えが伝わった。
　すかさず高速で巻き上げるとギュギュンとカマスが首を振る感触が伝わってきた。
　やがて海面を割ったのは自分がこれまで見たことのない40センチ級のカマス。仕掛けをたるませないよう一気に抜き上げ無事に1本目をキャッチ。
　次の投入ではフワッと食い上げてから突然ガツガツきたところを合わせて2本目をキャッチ。その次はモゾモゾと違和感を感じるもののなかなか食い込まないのをじっくり待ち、強いアタリで合わせを決めて3本目。できすぎの3連発で今夜のおかずをクーラーに収める。
　しかし、ジャンジャン釣るぞ！
　と意気込んだのも束の間。ビギナーズラックは長続きせず、それ以降はアタリはあるもののパッタリ掛けられなくなる。トホホ……。
　その後大きな盛り上がりはなく14時半に沖揚がり。コツコツと釣果を重ねて11本でトップとなった左舷ミヨシ氏に釣り方のコツを伺うと、「船長の指示ダナでジーッとアタリを待って釣っていただけなんですけどね」とのこと。
　私が途中から釣れなくなったのは仕掛けを動かし過ぎたのが原因かも……。
　また船長によると、この日は底上50センチが指示ダナとなったが、状況によっては底から3〜5メートル浮いた反応が出ることもあるそうで、指示ダナのアナウンスを聞き逃さないようにしてほしいとのことだった。
　アタリを取って、合わせ、そして掛けた魚をバラさずに取り込むまで常に油断できないカマス釣りは、タチウオに勝るとも劣らないテクニカル系ターゲットと言えそうだ。

［恒丸］飯田　博船長