そんな期待を抱いて投入を開始したのだが、船中の竿は沈黙を保ったまま。数回投入するが結果は同じである。
　船長は鴨川沖へ移動を決める。ポイントへ到着すると「ここはカッタクリが有利だよ」と投入開始を告げてきた。
　開始早々から突き出しのルアーマンにヒット。取り込んだのはワカシであったが、船中のムードを一気に高めるには十分で、カッタクリの釣り人が道糸をたぐるピッチが自然に速くなっている。しかし、数本のワカシが取り込まれた後はまたしても音沙汰なしの状態となった。
　再び船長は移動を告げ、小湊沖へ戻り20メートル前後の高根周りを攻める。ここでも最初のヒットはルアーで、青物ではなかったがキロオーバーのマハタ。さらにはヒラメを抜き上げ、泳がせチームの出る幕はまったくない。
　そして、追い打ちをかけるようにもう1人のルアーマンがキロオーバーのアカハタを釣り上げルアーの威力を目の当たりにする。
　しかも、これでは終わらず次は2キロクラスのヒラマサと指をくわえるばかり。斉藤さんも、
　「これじゃルアーの取材になっちゃうよ」と苦笑い。
　しばらくするとルアーにもアタリが遠のき、再び鴨川沖へ向かうが、この選択が見事に当たった。到着後まもなく斉藤さんの竿先が突っ込み、待望のカンパチが船中に取り込まれた。小アジを丸飲みにしたのはキロオーバーのまずまずの型であった。
　このカンパチが引き金になり、カッタクリでもポツポツとショゴやイナダが顔を見せ始め、時にはダブルといった光景も見られる。もちろんルアー組もカンパチやキロ級のイナダを抜き上げ絶好調。
　アタリはあるものの、食い込みまでに至らずヤキモキの連続なのが私で、それでも最後の最後でエサをアオアジに替え、小型のイナダを釣り上げるが、時すでに遅しと言ったところ。
　そんなわけで後半に盛り上がりを見せ、無事、青物五目の取材が終了したが、ダントツのトップはカンパチとイナダを合わせて11本のルアーマンであった。
　今後も引き続き青物狙いで出船するそうだが、今期はかなりの群れが回遊しているようなので期待が持てそうだ。盛期になれば2〜3キロクラスも交じるので、そうなれば泳がせが有利となる。

［寿々木丸］鈴木 達也船長