午前7時半。ついに船長はオキメバル狙いに見切りをつけて名立沖の42メートルダチに移動。アジ五目へと転進することになった。
　幸い雨は止んだが、雲の切れ目から顔を出したのは真夏の太陽。こりゃたまらん。私はカッパを脱いで日焼け止めを体中に塗りたくった。
　しかし期待の42メートルダチは潮が動かず、エサ取りの猛攻に悩まされた。
　そんな中、船長は少しでもエサ取りの少ないポイントを探り出そうと走り回る。
　するとこれが奏功し、ポツポツとではあるが本命アジが釣れ始めてきた。しかも釣れるアジは33〜40センチと粒ぞろいで引きも強く、マダイと勘違いする方もいたほど。私にも丸まると太った37センチ級が食ってきて、力強い引きが楽しめた。そればかりか、根魚五目で人気のキジハタを釣った人もいた。
　その後は船長の提案でマダイ狙いに変更。当初の予定にはなかった釣り物だが、それはそれでうれしいものだ。
　釣り場は有間川沖の52メートルダチ。期待を込めて仕掛けを沈めたがアタリは遠い。5〜6月こそマダイラッシュに沸いた有間川沖も現在はさっぱりで、またもや名立沖42メートルダチへととって返す結果になってしまった。
　この移動時間が嫌だという人もいるが、当日のような灼熱地獄では船が走るときの涼風が全身に心地よく、まさに天国のように感じられる。
　午後1時。もはや沖揚がりまで残り30分ほどとなったころ、左舷ミヨシ氏が1.5キロ級のマダイを釣り上げた。
　これを見た周囲の釣り人はがぜん闘志が湧き、次いで右ミヨシ氏が1キロ級、そして遅ればせながらわが愛竿もようやくマダイの魚信を伝えるに至った。
　私はオキメバルもアジも置き竿で狙ったため巻き上げはすべて電動まかせであったが、やはりマダイは小型といえども手巻きで臨みたいところ。
　やがて海面に浮いたのは1キロ級の小型だったが、本日の貴重な1枚であることは変わりなく、釣友にタモ取りをお願いした。
　沖揚がりは13時半。釣果はオキメバルが14〜25尾、アジが1〜4尾、マダイが0〜1枚。そこにカサゴやキジハタも交じり、楽しいリレー釣りが楽しめた。

［大進丸］中村英二船長