しばらくして船中の様子を見て周ると、2本竿を操る右ミヨシの常連さんが次つぎとシロギスを釣り上げていた。サイズは15センチから25センチ近い良型まで大小交じっているようで、魚影の濃さを感じさせた。
　石井さんも順調に数をのばしているようで、ほどなく20センチ級をダブルで抜き上げた。始めのアタリで軽く合わせを入れて追い食いを待つと、すぐに次のアタリがきたというから魚の活性は高そうだ。
　私の弟も、
　「キュンとくるこの感じ、いいよね」とシロギスの引きを楽しんでいる。上がってきたのは24センチの良型、ハリが飲み込まれていた。
　弟はシロギス釣りでハリのフトコロが狭い早掛けタイプを好んで使っている。この手のハリは魚が吸い込みやすく、ハリが飲み込まれて口の中でしっかり掛かるためかバラシが少ない。
　ハリを飲まれたとき素早く外すコツは、親指と人さし指を魚のエラに入れて開くようにして持ち、ハリスを引っ張る方法。こうするとエラや内臓にハリが刺さっていても外れやすいのだが（内臓ごと抜けることもある）、力を入れて外すとハリが開くことがあるので、エサを付けるときに点検しよう。
　その後もシロギスの食いは順調で、船中のだれかしらが竿を曲げている状況が続いた。
　右胴の間の早坂さんは和竿の愛好家。両手に持った竿を巧みに操り次つぎにシロギスを釣り上げている。和竿が欲しくてたまらない私はその釣り姿に見入ってしまった。
　やがてシロギスに交じって小型のイシモチも顔を出すようになり、石井さんは早くも夕食の料理を思案中。フライ、塩焼き、良型のシロギスは刺身にしてもいい。これにイシモチのホイル焼きあたりが加われば最高だ。
　自分でも竿を出すと7連続ヒット。ダブルこそないもののこれだけ釣れると気持ちがいい。
　お昼を回った後半もシロギスは順調に釣れ続き、午後3時半に沖揚がり。
　船中釣果は15〜25センチのシロギスが36〜112尾。この釣れっぷりなら初心者でも楽しめるはず。皆さんにも東京湾の冬のシロギス釣りをぜひ楽しんでいただきたい。

［広島屋］石井　晃船長