船長は全員にマダイ狙いに変更することを告げ、船を剣崎方面に走らせる。10分ほど走った先は水深50メートル前後、船長の指示は海面から41メートルだ。
　激しい雨が降ったかと思えば、晴れ間が差したりと安定しなかった天候もこの時間になってようやく落ち着く。これまでジッと我慢の私だったが、皆さんがお土産を確保したこともあってここから竿を出させていただく。
　ハリス3号9メートルの仕掛けで第1投。船長の指示から推測するとハリス分プラス2メートルとなるが、潮が速いので1メートルほど低くして狙ってみた。
　2投目、タナ取り後1分ほどでクンクンゴーンというアタリ。すかさず竿を取ってヤリトリに入ると、周囲の方から注目を浴びる。
　「どうせイナダかワラサですよ」と言い訳するが、この感触は明らかに青物のそれと違っている。
　慎重に巻き上げてビシをつかむが、反対舷の方とオマツリ。強引にたぐろうとしたのがまずかったか、船下にハリスがこすれてあっと言う間にプツン。
　同時に左舷大ドモの方もヤリトリしていて、こちらには無事2.5キロ級のマダイが取り込まれる。
　悔しかった。たぶんそれ以上はあったと思われるだけに残念でならない。
　しばらくアタリが途絶えたので、船長は大きく船を移動。イナダ、ワラサ船団の沖目、水深は同じく50メートルくらいだ。ここではポツポツとアタリが出るが、イナダかワラサばかりだ。
　「もう青物はいいんだけどなあ」とだれかがつぶやく。そんな時、左舷ミヨシの方がまたも大きなアタリをとらえる。
　「どうせイナダでしょう」とやや強引なヤリトリ。ところが、海面まで浮かせてびっくり、大ダイである。
　後検量4.5キロ、上げた本人はやや照れ笑い。それにしても見事な大ダイだった。
　その後は再び青物攻勢となり、もう十分とばかりやや早い12時半に納竿。釣果は1〜2.5キロ級のイナダ＆ワラサを4〜12本、2.5〜4.5キロのマダイを船中2枚だった。
　2種目プランも可能、沖揚がり時間も自由な仕立船、加えて金田湾出船なら釣り場も近いし、様ざまな魚種を狙えるなどメリット大。グループ釣行にはぜひともおすすめしたい船宿だ。

［金寅丸］菱沼祐三船長