同船者から遅れること2時間、私も戦列に加わる。
　初投はアタリがなく空ぶりに終わったが、2投目で待ちに待った本命からのアタリ。
　仕掛けをたぐり寄せると、40センチほどのクロムツ、そして25センチ級と30センチオーバーのキンメ。クロムツのほうが上バリに食っていたのが興味深い。
　釣りも終盤を迎えるとキンメの食いは上向き、多点掛けが増えてきた。前出の福田氏も4〜5点ペースでキンメを取り込んでいる。
　私も負けじと、これでもかとじっくり追い食いを待つ。道糸がフケるほどの感触にしてやったりと巻き上げを開始。今までの手応えとは異なり、竿は大きく曲がった。
　もしかするとパーフェクトか！
　期待は大きく膨らむ。ところが仕掛けが上がってくるにつれて竿にかかる負荷は軽くなっていく。
　回収した仕掛けには、たった1枚のキンメが申し訳なさそうに掛かっていた。私の巻き上げスピードが速かったのだろうか。
　気を取り直して再投入。船長の指示ダナでストップすると、またしてもガタガタとアタった。今度は同じ撤を踏まないぞと巻き上げ速度を落として取り込みにかかる。
　これが正解だったようで、仕掛けには4枚のキンメが付いていた。残り時間はあとわずか。とにかく多点掛け狙いに徹した結果、以降の巻き上げでは単発は1度もなく、すべて2枚以上で取り込んだ。
　そして、いよいよ最後の投入。船長が、
　「最後だから合図があるまで巻き上げは待って」という。それから待つこと数分、
　「いっぱい付いたと思ったら巻いていいよ」と合図が出た。
　船中にリールの巻き上げ音が響く。やがて巻き上げがストップし、海中をのぞき込むとキンメの赤い姿。40センチに近い良型が3枚と中型キンメ。合計6点掛けに思わずニンマリしてしまった。
　こうして皆さん大満足で、21時前に沖揚がりとなった。釣果は23〜40センチのキンメが14〜33枚、ほか40センチ前後のクロムツが0〜2尾。私は後半奮闘し、23枚のキンメと良型クロムツを手にすることができた。
　早川丸は年明けもキンメの出船を続けるそうだが、天候と潮さえマッチすれば当日のような……あるいはそれ以上の好釣が期待できるだろう。

［早川丸］早川勝巳船長