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本誌APC(東京)◎釜井 昌二
掲載号: 2010年2月15日号
インチキ仕掛けにぞっこん。だって釣れちゃうだもん
9時を回ってまたまた小松さんにヒット。傍らに置いておいたタモで危なげなくすくい上げたのは1キロ級の良型だ。
続けて仲乗りさんも巻き上げ開始。小ぶりだがこちらもオニカサゴを取り込んだ。
開始から2時間が経過して、まだ本命のアタリすらとらえていない私。早くもインチキマダムへの疑念が膨らみかけてきた。「オマエを信じていいのか? 仲乗りさんは、釣れたぞ! いつもの質素な仕掛けのほうがいいんじゃないか?」
しばらくして水深70メートルという浅場のポイントで投入の合図。深場の模様があまりよくないと見た船長の英断であった。
底ダチを丹念に取り直し、底上70センチほどをキープしていると、竿先にコツリと微かなアタリが出た。雑魚か?
いや、先バリのエサを本命がくわえたシグナルに違いない。
そう信じてそっと竿先を送り込み、一呼吸おいてからゆっくりと竿を立ててみた。すると、瞬く間に竿先がたたき込まれた。インチキマダム、会心の一撃である。
水深が浅い分、オニカサゴの引きは明瞭かつ爽快。36センチ、800グラムの中型が案の定、先バリにガッチリと掛かってきた。
ポツポツとは釣れてくるものの、いささか食いが渋い。
「昨日の午前中は底潮の流れもよかったんですけど、今日は上潮ばかりがよくて、底潮はほとんど流れていないですよ」と船長。歯がゆい時間が続く。
でも、ここまで読んでくれた読者の皆さんの期待を裏切らないためにも、なんとしてもこのインチキマダムで結果を出して帰りたいものである。
水深80メートルのポイントを流した11時半ごろ、右舷ミヨシで竿を出していた釣友の福島さんが中型のオニカサゴを上げる。
これに続けと丹念に底ダチを取り直すこと数分後。ややカケ上がりの砂泥底をトレースしたインチキマダムに、今度は明確なアタリがやってきた。底上50センチをキープしてとらえたアタリだったから、中バリへのヒットに違いない。
そのまま待っていると、エサを食い込んでいく感触が手元と竿先に伝わってきた。頃合いよく竿を立てるとハリ掛かり成功。時折、ガクガクと首を振る引きを楽しみながら、先ほどよりひと回り大きい38センチ1キロ弱のオニカサゴを取り込んだ。でかしたぞ、インチキマダム。
さらにお昼過ぎには良型オニカサゴと確信するアタリ。ところがどうして、底から5メートルほど巻き上げたところでバラしてしまった。掛けた、いや掛かっていたと思ったんだけどなあ……。
納竿前、再び小松さんが1キロのオニカサゴを手にして、14時半に終了の合図。釣果は0.3〜1キロのオニカサゴが0〜3尾。これに前出のゲストが交じった。
オデコと隣合わせで数が釣れる釣り物ではないけれど、やっぱり私はこの釣りが大好きである。
さて本日の立役者、インチキマダムについて、独断と偏見で考察してみたい。
冒頭でも述べたが、私はシンプルな仕掛けで十分オニカサゴは釣れると思う。しかし、一度派手な仕掛けで釣果を手にしてしまうと、アピールグッズを付けていないと釣れないのではないかと疑心暗鬼に陥ってしまう。
アピールグッズと釣果の相関関係を関数にすることはできないが、私はきっと、次のオニカサゴ釣行でもインチキマダムを連れ添うであろう。だって、釣れちゃったんだもん。
Page1 仕掛け対抗戦の 絶好のチャンス
Page2インチキ仕掛けにぞっこん。だって釣れちゃうだもん
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