Check
本誌編集長◎沖藤 武彦
掲載号: 2010年10月1日号
最強の男 in 久比里 今期初釣行で肩慣らし
個人的にはぜひ、カワハギの男女ペア大会を開催してほしい。なぜならカワハギ釣りが好きな人は必ずといっていいほど竿を2本持っているから、初めての女性をエスコートできる。それに大会であれば内気な男子だって女友だちを誘うことができるし、夫婦、親子も楽しめる。
今、必要なのは堅苦しく考えることではなくて「きっかけ」。みなさんも家族や友だちを誘ってみてほしい。
なんだか編集後記みたくなってしまったけど、大会がないならいっそ、小規模ながら本誌で
「カワハギ教室ペア仕立船」でも企画しようかと思うほど。そのとき先生役でぜひ来てほしいのが萱沼昌樹さん。今号の主役の1人「かやごん」だ。
典型的なサンデーアングラーである萱沼さん(以下かやごん)は今年の夏、息子さんのサッカークラブが忙しかったようで、取材をお願いした8月31日が初カワハギ釣行。
船宿はDAIWAオープン(DKO)の舞台のひとつ、久比里の山下丸。シード選手であるかやごんは、これから決勝に向けて試釣を繰り返し、ジワジワと腕を慣らし、モチベーションを上げていく。
とはいえ、怖い顔をして釣っているのではなく、魚が掛かるたび子供のように笑うし、ヨタ話にもつきあってくれる。彼のモットーは「釣れたほうが面白い」。そんなかやごんの周りにはいつも友人が集まる。
釣り方の詳細は32ページからの「最強の法則」をご覧いただくとして、ここでは当日の状況とかやごんの対応を中心に追ってみよう。
カワハギ釣りの歴史とともに歩んできた山下弘司(ひろし)船長がこの日、最初に狙ったのは下浦沖。水深15メートルほどの砂地にツブ根が点在するポイント。
右大ドモで竿を出すかやごんはいつものタタキ&タルマセで開始。とはいえ潮は動いていないようで、中オモリがストンと沈んでしまうため慎重に送り込んでいる。
時折道糸が斜めに入るが、それは船長がエンジンを使って船をずらしているから。そしてカワハギのいる場所にさしかかると船中でポツ、ポツと上がる。
カワハギが浅場に散っているという典型的な夏場のパターン。潮も流れていないから、かやごんもそれほど頻繁に根歩きさせないようだ。
こんなときは一度訪れたアタリを逃さず掛けることが肝心なようで、かやごんは1度だけ訪れたアタリを頼りに、まるでロウソクの火を守るような慎重さで送り込みと聞き合わせを繰り返してハリ掛かりさせた。
次は剣崎沖へ移動。剣崎といえば潮が速い時間帯を避けて釣るほどの場所だが、この日は下浦沖同様に潮が動かない。数度場所を変えても同じようで、弘司船長も困り顔。
しかも例年なら10メートル台の浅場で釣れるのに最近は20メートル台とか。いずれにせよシビアな状況のようだ。
タタキ、送り込み、聞き上げ。この基本パターンで釣っていくとトラギス、根の近くではササノハベラが食ってくる。カワハギがいれば同時に食ってきそうなものだが、なかなかアタリを送ってこない。
こんなとき、かやごんは外道を避けて宙を狙ったりするのだろうか。
「しませんね。カワハギだってベラだって同じ場所に住んでいるのですから、釣れてしまうのは仕方ないと思います。根気よく釣っていきます」
自分だけ釣れず、周りが宙でよく釣ってでもいないかぎり釣り方を変えることはないそうだ。
そんなかやごんはトラギスが1尾掛かった状態で、しばし、ジ〜ッと待っていたりする。
「トラギスが暴れて誘いになったらいいな、と。友だちを呼んでこい。がんばれ」
プルプルと伝わるトラギスの引きの中に、ゴゴン!
とひときわ強いアタリが出たらそれはカワハギ。しかしこの日、トラギスはトラギスとベラばかりを呼んできた。トモダチ作戦、効果なし。
Page1 最強の男 in 久比里 今期初釣行で肩慣らし
Page2 意外や時折エサが丸裸。 かやごんの対応策は?
※本誌紙面では、カラーグラビア、仕掛図などがご覧いただけます。