こんな誘いをしていた数人が、開始直後にアタリをとらえた。船ベリでカメラを構える私の前でスパスパと抜き上げられるタチウオのほとんどがメートル級。中には腹周りがデップリとした大型もいた。
　ヤバい、早く釣らなきゃ！
　私も急いで仕掛けを入れて底から誘い上げると、すぐにタチウオがエサに食い付いたような感触が伝わってきた。
　ただでさえハリ掛かりさせるのが難しいタチウオだ。しかも2011年の初アタリ、これをモノにできるかどうかで、今年の釣運が左右されるような気がしてならない。
　いつになく緊張しながら食い込みを待っていると、竿先がギュンと曲がってハリ掛かり。私のファーストフィッシュはメーターオーバー。めでたし。
　1本釣って落ち着いたところでルアーマンの様子を見に行くと85メートルという水深と観音崎沖の潮の速さを考慮してか、ジグのウエイトは120グラム以上を選んでいる人がほとんど。中には160グラムのジグでメリハリのあるアクションを演出している人もいた。
　釣れ具合はエサ釣りと同じく活発で、ジグをくわえた良型がボコボコと引き抜かれていく。
　それにしてもすごい釣れ具合である。年末から好調と聞いていたが、まさかここまでの食いだとは思わなかった。
　もしこの状態が沖揚がりまで続いたとしたら、竿頭が40〜50本に届いてもおかしくない。
　しかし現実は甘くないようで、時間が経過するにつれて釣れるペースは少しずつ落ち込んでいった。朝と同じくアタリは頻繁に訪れるのだが、なかなかハリ掛かりに持ち込むことができない。船中あちこちから、「バラした！」とか、「スッポ抜けた！」といった声も聞こえてくる。
　メーターオーバーで最高のスタートを決めた私も、ご多分に漏れずバラシを連発。ああ……情けない。
　85メートルダチに見切りをつけた船長は70メートルダチへと釣り場を移したが、やっぱりポツポツ上がる程度である。