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‘2012/04’ カテゴリーのアーカイブ

春~初夏の多摩川を楽しむ

2012/04/25

河川下流部のターゲット

桜が咲き始める頃より、多摩川では生物の動きが活発となります。様々な魚がおりますが多くの種にとって春は産卵のシーズン。釣りのターゲットになる魚も豊富です。今回は河口から約25キロ上流となる登戸までの主なターゲットを見てみましょう。

・マルタ
普段汽水に生息するマルタウグイは3月中旬より遡上を開始。河川中流を目指し活発にジャンプをしながら遡ってゆきます。全長は50センチ前後になり、活きエサから練りエサまで貪欲に食すためルアーやエサで簡単に釣ることができます。
河口部ではシーバスの外道としてお馴染みですが、最近はトラウト用のライトタックルやフライで狙うスタイルが流行っています。
釣期:3~5月 釣り場:登戸~丸子橋

・コイ
河川の清掃目的で放流されているコイは様々な餌を食べる雑食性。4月中旬~5月中旬に掛けて産卵の為に浅場へ群れて移動してきます。平均サイズは60センチ近くあるのでファイトもかなり楽しめるでしょう。
3月頃から産卵期までの期間は栄養を蓄えるべく魚食性が高まりルアーへの反応も良好です。学習能力の高い魚で餌釣りで狙う際はハリなどの金属の反射光を大変嫌うので注意しましょう。
釣期:周年 釣り場:登戸~多摩川大橋

・ナマズ
冬季はほとんど動かなかったナマズも水温上昇と共に動き始めます。産卵期はコイとほとんど同じで4月中旬~5月中旬。夜間に浅場で水を跳ねながら産卵する様子が見られます。典型的なフィッシュイーターですのでルアーへの反応は良好。しかし、ナマズにとって水温の低い春は水面を割って出てくることは希で波動の強いミノー系が有利となります。
汽水は嫌いなようで多摩川では丸子橋より上流部に多く生息します。
釣期:4~10月 釣り場:登戸~丸子橋

・シーバス(スズキ)
東京湾へ春の濁りが入る頃、稚アユを追いかけて河川を遡上してきます。水温が高いほど淡水への順応性が高く、多摩川では登戸まで上ることがあります。捕食目的で遡上する魚なので、稚アユ→テナガエビ→ハゼ・ボラ→落ちアユなど季節によって特エサが異なります。ルアーの場合はこのことを考慮してプラグを選択しましょう。
釣期:4~11月 釣り場:丸子橋~河口

他にも様々な生物が生息。世田谷区が行った調査でも多くの個体が確認されています。自然にあふれる河川は最高の遊び場の一つといえるでしょう。
参照:世田谷区 平成23年度 魚類調査結果

餌とルアーを楽しむタックル

・汎用タックル
ルアーもエサも両方楽しむなら3m弱の小型投竿が適してます。リールはナイロン3号を100メートルほど巻いたスピニングリールが扱いやすく、初心者にもおすすめです。
このクラスのタックルならばロッドを45°にした状態で引っ張り、穂先が竿尻と水平になったところでドラグが出るようにセッティング出来れば大抵の魚は獲れます。
大きな魚もいますがいきなり高いタックルは必要ありません。小技を駆使して魚とのやり取りを楽しましょう!

エサ釣り:
これにナツメ型などの10号前後のオモリに、ハリは丸セイゴ13号。ハリス3号40センチと接続すれば、多摩川に生息する30センチ以上となるほとんどの魚を狙うことが可能です。市販仕掛けではウナギ仕掛けを選んで頂ければOK。
エサはミミズやアオイソメなど、生きているものが魚の反応も良く、アタリも早くでます。流れの合流部や淵などの変化のある場所、杭や橋桁などの障害物付近へ投げ込みアタリを待ちましょう。

ルアー釣り:
エサ釣りに比べると魚ごとに有効な種類がことなりますが、基本は10センチ以下のものが反応も良いように感じられます。ミノー・スプーン・バイブレーションなど。河川なので流れの中でもしっかり泳ぐものを選びましょう。
またマルタに関してはフックに夜光玉を取り付けると、ヒット率が格段に上がります。エサ釣りでは夜光玉のみで釣り人もいますのでお試しください。

 

下流部の主な釣り場

登戸・和泉多摩川:
緑も多く川の流れもやや速い場所が多いエリアです。初夏にアユが上ってきてからがハイシーズンとなり、ナマズやスモールマウスバスがルアーで狙えます。エサ釣りではボート乗り場周辺でヘラブナやクチボソ、本流でコイも多数です。アユはコロガシの人が多く、その傍にはアユを狙うフィッシュイーターが潜んでいます。

東名高速~第三京浜:
マルタが主に産卵するエリアで、春は多くの魚が集まります。中型のコイやナマズの魚影もまずまずで、年によってはライギョやスモールマウスバスが釣れることも。主なベイとはモエビやクチボソです。梅雨頃よりアユも入り、ドブ釣りやコロガシで狙っている人もいます。

丸子橋~多摩川大橋:
調布堰より下流の釣り場は潮汐の変化を受ける汽水のエリア。テナガエビやハゼ、ボラなどのベイトが多くなり、それを狙うシーバス・ウナギ・コイが多く生息します。ある程度整地され居る場所も多く、休日には駐車場が解放されている場所もあります。ルアーで狙うアングラーが多いですが、確実な釣果を獲るならブッ込み釣りがおすすめです。

大師橋~河口:
いよいよ塩分濃度も高まりアナゴも混ざりだします。多摩川ではもっともテナガエビが多いエリアでもあり、川崎鉄橋下や六郷水門などメジャーポイントもあります。シジミやアサリが掘れますがウェーダーは欲しいところです。

初夏から夏にかけて

春以降の多摩川下流域も様々なターゲットを狙うことができます。

・5月
コイやナマズの産卵が最盛期となるころ、河口より遡上する稚アユもピークを迎えます。毎年何十万も遡ぼってくる小魚を河川の魚が見逃すはずはありません。丸子橋にある調布堰ではシーバスが集まって稚アユを捕食。ナマズやウナギも稚アユを意識したエサやルアーで良く釣れるようになります。4月に産卵していたマルタも汽水まで下降し、丸子橋より下流で稚アユを捕食します。
河口部での潮干狩りも最盛期となり、アサリやホンビノスが良くとれます。人によってはシジミやサルボウを専門に狙う方も見られます。ただアカエイの産卵期終盤と重なるので、踏みつけて刺されないようスリ足で動くようにしましょう。

 

・6月
遡上していった稚アユが解禁となり、毛針で狙うファンが多く集います。解放されていた調布堰も閉門され、下流部からの遡上魚は少なくなります。
この頃となると丸子橋より下流部ではテナガエビが産卵のため一斉に接岸します。テトラポットや桟橋跡、捨て石周りに多く集まっておりウキ釣りやミャク釣りで狙えます。慣れた人は複数本の竿を操り100匹以上釣るほど。エビは夜行性で、昼はエビの隠れ家が集約される干潮、夜は障害物の上でエサを探しているので満潮を狙うと好釣果が得られます。
捕食魚たちにとってテナガエビは格好のエサ。見逃すはずがありません。シーバス狙いでは生きているものを1匹づけ、ウナギ狙いでは剥き身にして狙ってみましょう。
もし脱皮直後の柔らかいエビが手に入れば特エサとなります。脱皮したエビは夜間に浅い場所でジッと止まっており、網があれば容易に捕らえることができます。

 

・7月
接岸しているテナガエビは産卵期後半へ入り、大型の雄は減ってきます。代わりに姿を見せるようになるのはマハゼ。7cm前後で釣るには小さいサイズですがグイグイ遡上。あわせてボラの稚魚も多く遡上し、登戸付近まで上ってゆきます。
稚アユとならんで格好のベイトとなるハゼやボラをシーバスが見逃すはずがありません。この頃はバイブレーションをロングジャークによく反応します。
夜間の気温も過ごしやすく、下流部でブッ込み釣りでウナギ・ナマズ・コイ・シーバス、手前でミャク釣りでテナガエビ・ハゼが楽しめます。共に通常エサはミミズやアオイソメ、ブッ込みの特エサはテナガエビやハゼとなります。

 

多摩川下流部の遊魚券

多摩川ではガス橋より上流部で釣りをするには遊魚券が必要となります。近隣釣り具店でも扱っているところは意外に少なく、現場でも料金差が無いため係員の巡回時に購入することが多いでしょう。
1日券は1000円、年券は5000円となります。購入したら係員が確認できるように衣類やバッグなどに取り付けてください。

深海巨魚アブラボウズに挑むには?

2012/04/09

近海の浅場釣りではお目に掛かれない深海魚が多数狙える深場釣り。サイズも1キロ以上のものが多く、食べて美味しい魚で数も狙えるのが魅力です。しかし深海には強烈な大型魚も生息しています。

深海の大型魚

「目指せ100キロ!」と謳われ、そのサイズと食味の良さで近年注目を浴びている深海大型魚がいます。
その名をアブラボウズ。カサゴ目に属する大型魚で最大サイズは170センチ100キロ近く。水深400~1000メートルの起伏の激しい岩礁帯に生息しており、春頃になると産卵の為やや浅場へ移動し、小さな群を形成するので、その時期が絶好の釣期となります。
「アブラ」の名が付く巨大魚なので誤解を受けることが多くありますが、アブラボウズの脂は普通の魚と同じもの。ワックス成分の脂を持つ食用不能魚、バラムツやアブラソコムツ(サットウ)と違い、人間にも消化できる食用可能魚です。しかし肉中の脂肪分が50パーセントを超える魚なので、肉の脂身などが苦手な方は脂を落とす調理を施した方が無難でしょう。食身は良好で脂を多少抜ける、炙り寿司・味噌付けなどがおすすめです。

南伊豆仕様の仕掛け

専門船が少なく、仕掛けに地域差が大きいアブラボウズ。関東近郊では乗合船で狙えるのは茨城県平潟と静岡県南伊豆ぐらい。生息範囲は広いので仕立船なら外海に面し、生息条件に合った海域が近くにあれば狙うことが可能です。今回は南伊豆手石から石廊崎沖を狙うパターンを紹介してみましょう。

[アブラボウズ仕掛け]
ハリ:スーパームツ35号
チモト:繊維強化チューブorケプラー5センチ
ハリス:ナイロンorフロロ50号2メートル
幹糸:ナイロンorフロロ80号2メートル
捨て糸:ナイロン16号5メートル
オモリ:鉄筋3キロ
ライト:赤色推奨ブランコ接続
エサ:スルメorヤリイカ1杯掛け
その他:状況に応じてタコベイトを使用

大きな特徴は非常に長い捨て糸。これは起伏の激しい岩礁を太掛けで狙うためで、深い溝を通過する際に根掛かりを防ぐためです。万が一、ハリなどが根掛かりしたら50号のハリス切断は非常に困難。ロッドで切ろうものなら余程強くなければ折れてしまいます。
またアブラボウズはヤスリ状のザラザラした歯を持ちます。この口に掛けた場合、ハリのチモトなどが歯が当たるので強化チューブやケプラーは必須。ハリと一緒に結び込んで必ず装着するようにしましょう。
また集魚灯も効果的です。船宿のおすすめは赤。あまり光が強すぎるとバラムツやミズウオといった外道を寄せてしまうので注意が必要。装着はダブルスナップなどでブランコ形式に接続すれば、直接負荷がかからないうえ、潮流で揺られて一層効果を高められます。

基本釣法は底たたき

 船はポイントとなる根や傾斜を通過するように流します。斜面を下るのならオモリの着底を確認してラインを止め、引かれるラインでオモリが浮いたら数秒待って底に下ろします。斜面を登るのならオモリが着底したら数メートル浮かせ、再び着底したらオモリを浮かせるようにします。
アブラボウズは底付近にいる魚なのでマメな底取りが肝心。キーパーにタックルを放置しているようでは根掛かりやタナボケを起こし、魚が掛かることは希です。
そして待望のアタリがきたらすぐに合わせずラインを送って静観しましょう。

巨大なアブラボウズの力は強く、自らの抵抗で十分針掛かりします。このときに暴れさせて鉄筋オモリをカットでれば、後のファイトが非常に楽になります。慌てて早合わせを入れてしまうと大抵はすっぽ抜けてハリ掛かりに至りません。
十分に食い込ませ、しっかりハリ掛かりできたら巻き上げ開始。強烈な重量感ですがサイズの割に引きは鈍いので、ドラグを効かせながらゆっくり巻き上げましょう。注意点としてはアブラボウズの顎はさほど強くないということ。巨大な口を開けながら上がってくると、途中で掛かる水圧は凄まじく、大きなウネリなどを通過すると口切れするおそれがあります。ドラグを調整しバラシに十分注意しましょう。
途中の激しい抵抗をいなし、いよいよ水面に見えたら取り込みです。モロコやイシナギを思わせるシルエットのアブラボウズですが水面で浮く魚ではありません。もしポロリと外れれば、そのまま水中に泳ぎ去ってしまいます。ですので油断は大敵!緩めないようにラインを手繰り船縁まで寄せます。
そして最後はギャフを打っての取り込みです。身は柔らかいので狙うはアゴ。大きな口にギャフを差し込み、1本目が掛かったら2本目を掛け、声を掛け合い全員で協力して引き上げます。このときギャフは垂直に引き上げなければ破損するので注意しましょう。
力を合わせて取り込めれば釣り人の勝利!大きな魚体は生で目にすると感動すらおぼえます。

アフターフィッシングは最大の楽しみ

下船後は調理し美味しく頂きましょう。脂肪分の多い身は柔らかく、包丁一本でも解体は可能なレベル。刺身は脂がくどく感じることも多いので、炙り寿司や西京漬けなどがおすすめです。
地元消費されることが多い魚なので味を知っている人は少ないですが、「銀ムツ」と似ているといわれることが多い魚です。切り身で冷凍すれば日持ちもまずまず。長く楽しむことができます。
まだ知名度の低い魚ですが、非常に魅力ある大型魚です。狙うまでの敷居は決して低い魚ではありませんが、機会があればぜひ狙ってみましょう!