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釣趣最高!シーズン序盤のマルイカを狙う

ここ数年で春から夏、関東周辺の沖釣りテクニカルゲームの代表格となったマルイカ。釣り人の技術がダイレクトに釣果へ現れ、様ざまな引き出しを用いて数を競うスタイルは秋から冬のカワハギに並ぶ人気ターゲットです。昨年の不調で今年は心配されましたが、1月末より相模湾にて開幕、釣り人を熱くさせています!

マルイカとは?

関東でマルイカと呼ばれるイカの標準和名はケンサキイカ。地域や季節による変異の大きな種で、多くの地方名を持つイカとしても有名です。近海内湾で釣れる太身で短い関東のマルイカ、駿河湾のジンドウイカ、外海で細身で大型に育つ伊豆諸島のアカイカ。外房のアカイカは内外湾の中間的な存在かもしれません。そのほか、日本海側の本家ケンサキイカのほか、小型のブドウイカなどが知られています。

生物学的な特徴のほか、多くの地方名を持ち、また地方名と同一の正式名称を持つイカが存在することから誤解しやすいので注意しましょう。食べては甘みが強く、ほどよい歯ごたえが非常においしいイカで、大きく成長してもおいしい、というより、大型のほうが食味の評価が高く、食通にも大変人気があります。

地域による差が大きいイカです。

3種の仕掛けを使いこなそう

釣って楽しく、食べておいしいマルイカ。しかし昨今の細分化された仕掛け形式やスッテ、そして釣法から敬遠されている方もいるかもしれません。
ただ釣るだけなら適当でも釣れますが、遊びとして釣りをするのなら全力で楽しんでいただきたいところ!簡単に各釣り方に触れてみましょう。

【ブランコ】
難易度 低
釣趣:オートマチック
適合ロッド:仕掛けの汎用性が広いのでロッドの調子をそれほど選びません。鋭い操作を必要としないので7:3調子ぐらいのロッドを用いられることが多いです。
適:潮流が速い・深ダナで高活性・イカ釣りに慣れていない
不適:潮流が緩い・浅ダナで低活性
浮力を持ったウキスッテを用いた仕掛けで、潮流になびいてイカを誘うため「タナを広くゆっくり」と比較的簡単な誘いで釣ることができます。
スッテの安定性も高く、ウネリが潮流があるときに有効で、ハリスが長いためバレは少く、深場でイカが高活性なときなど、一回の投入で数を稼げます。初心者におすすめ!
ただし、繊細なアタリをとらえて掛けるゲーム性は少ないといえるでしょう。

【直ブラ】
難易度 普通
釣趣:セミオート
適合ロッド:ダイレクトなアクション入力ができる8:2調子以上の先調子のロッドが好まれます。カワハギやカレイロッドのような鋭敏な穂先を持つものがよいでしょう。
適:様ざまな状況に対応。迷ったらコレ!
不適:安定感を持つため突出したものはない
浮力のないスッテを1センチ程度の短いハリスで接続した仕掛けです。近年のマルイカ釣りの標準仕掛けといえるでしょう。
短ハリスによって釣り人の誘いがスッテにダイレクトに反映されるので「釣った」達成感が味わえます。ただしブランコに比べて仕掛け操作を要求されるので、誘いやバレ防止は釣り人の技量が問われます。

【直結】
難易度 高
釣趣:マニュアル
適合ロッド:ダイレクトな操作性と感度を優先させるため極先調子のロッドが好まれています。近年は1.5メートル前後のショートロッドが流行です。
適:微細な乗りが多い・浅ダナ・イカ釣りに慣れている
不適:潮流が速い・タナが深い・オマツリが多い
ハリスが全くなく、浮力のないスッテや重たい鉛角を使う仕掛けです。特徴としてハリスがないため高感度・高手返しを誇り、最も「釣った」という達成感が味わえる仕掛けです。
ただし要求される技量も高く玄人好み。使いこなせれば竿頭級の釣果を狙えますが、ラインの弛みは即バレに繋がりますので要注意です。ウネリが大きいときや潮流が速いときには苦戦を強いられます。

ライトorノーマル?タックルに対する考え

様ざまなイカ釣りでもマルイカは使用タックル差が大きい釣りものです。特にシーズン初期は「ノーマルタックルはオモリ80号。ライトタックルは60号OK」など船内で指定が違うことも多々あります。
これは60メートル以深の状況では電動リールを使う人が多く、その場合PEラインが平均3号前後とそれなりの太さで、オモリ80号が標準になります。それに対し、1号または0.8号の細さのPEラインを巻いた、いわゆるライトタックルであれば、ラインの潮切れがよいため軽めのオモリで釣りが可能になるわけです。
初心者は混乱しがちですが、船宿が意図する最も重要なことは「ラインが立ち、乗船者とオマツリしないこと」です。挑む際は自身のPEの太さ(細さ)タックルがノーマルなのかライトなのかを確認しておきましょう。
また先に触れた三種の釣法は難易度の高いものほど軽量タックルが有利となります。釣法でタックルを選んでも良いでしょう。

ここまで触れたタックルや仕掛けに関して、より詳しく知りたい場合は隔週刊誌「つり情報」やムックの「イカ釣り攻略マニュアル」をぜひご利用ください!

秋谷沖70~90メートルを攻める

他のエリアよりも一足早く釣れ始めた相模湾エリアを攻めるべく、お邪魔したのは茅ヶ崎の一俊丸。ノーマルタックルが多いシーズン序盤で、いち早くライトタックルで狙うスタイルで出船し、多くの釣果を上げている船宿です。


当日集まった釣り人は8名。昨年就航した大型新造船に乗り込み、後藤船長操船のもと秋谷沖のポイントまで航程30分ほど。皆、様々な策を練った仕掛けを用意し、マルイカ攻略を目指します。
ぐるり船内を見渡すと仕掛けの割合はシーズン初期らしくブランコと直ブラが多め。深場のマルイカを手堅く攻略するにはやはりそれでしょう。なので敢えて少ない直結仕掛けをセットし、それぞれの差を見るとします。
やがてポイントに到着すると投入合図が出されました。水深は70メートル前後からスタート。曇って雨もパラつく天候下でどのような乗りを見せるのか?まずはカメラを片手に様子見に徹します。
すると数流しは空振りがありましたがポツリポツリとブランコ仕掛けを使う人に乗り始めました。乗っているカラーは暖色系。仕掛け上部のスッテが多く、タナが浮き気味なのかもしれません。

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この傾向を踏まえて私もマルイカタックルを持ち釣りを開始します。周囲のタックルと潮流から判断し、PE1号を巻いたリールにタングステンシンカー40号をセレクト。重量に対し体積の小さいタングステンは鉛に比べて沈降速度が良好。加えて細PEラインは潮流の抵抗も少なく、底ダチを取ってからラインが吹かれないので微細なシグナルが鮮明に伝わります。
着底から50センチほど底を切り、ウネリを吸収しながらスッテを制止。すると直ぐにマルイカの反応が到来。モタレを捉えて合わせるとグンとロッドに重みが乗ります。
水深70メートルを一定速度で巻き上げると水面には当日のレギュラーとなる20cm弱が姿を見せました。
ちょうどプチ時合も到来し、船内至る所でマルイカが取り込まれてゆきます。慣れた人は手返しを進め、一流しで数杯ゲット! そして私にはマルイカを襲うアタリが2度も・・・。どうやら別のターゲットもいるようです。

直結仕掛けによる攻略

今回の私は直結仕掛けを使用。感度に優れたこの仕掛けを用いて、以下の通りマルイカを狙いました。

[動作]
着底したらすぐに底から0.5~1.5m離し、

仕掛けを5~10秒静止させ、触りなどの違和感を捉えるべく穂先を注視。

(2パターン)
・1シャクリ入れて5秒静止
・タタキを数秒入れ、その倍の時間を静止。
使い分けは活性と自身の疲労度にて。

上記を3~5セットして載せられなければ15m巻き上げて落とし直し、最初の動作へ。

[意識]
・動静を明確に
マルイカはスッテをきっちり止めたほうが乗るので、海中でのスッテの静止に注力します。また腕とロッドは水平に伸ばし、船の動揺を極力吸収します。

・ウネリ幅認識と感覚誤差修正
数十分に一度、オモリを底に付けた状態でラインを張り、ウネリの縦幅を計ります。それにより上記の動揺吸収の感覚と実測のウネリ幅の誤差を修正します。

・目線は穂先
スッテが完全に近い静止状態を保てれば、マルイカの動作がアタリとして出ます。
しかし、これを手だけでとらえようとすると、掛かるアタリは半分程度しか分かりません。そこで穂先を注視しアタリを目でとらえます。
主に取るアタリは
1.一瞬の弱振動(たぶんイカパンチ)
2.動揺停止(抱き込み)
3.引き込み(持ち去り動作)
で、これを捉えきれないと
4.強振動(蹴飛ばし逃げ)
となり、逃げられます。
手でとらえられるのは2~4で合わせるまでのタイムラグに1工程進みます。「あっ!」「逃げた!」「遅かった~!」などと騒いでいたのは3以降を捉えて合わせた為です。

これらを実行するとマルイカがスッテに興味を持ってさえくれれば大抵掛けることができます。ロッドの使い込みによる慣れも非常に大きな要素となりますが、ぜひ微細な違和感を捉えてみてください。

イカを襲う魚を狙う…

マルイカを数杯ゲットできれば土産は十分。となれば、これから相模湾を盛り上げるマルイカを襲う不届き魚はしとめておかねばなりません。
流しているポイントはオモリの感触から推察するに根に砂地が点在する形状のようです。そしてマルイカが襲われたのは底から3メートル弱。引ったくる形と咬みながら追跡する形。となれば前者は回遊魚かヒラメ、後者はマダイあたりでしょう。お誂え向きに頭上で鳥も旋回し、大型魚の存在を予感させます。
マルイカ釣りだけに選んだルアーはスロースクイッド。フォルムは完璧!後はターゲットに合わせた動きで狙ってゆきます。
・・・・・が、そう簡単には釣れませんorz 約半分の時間を費やしましたが釣果を得ることはできませんでした。しかし、マルイカ釣り場に十分な可能性を感じさせる有意義なアプローチとなり満足です♪

マルイカを〆てみよう

食味評価が高いマルイカを釣ったのなら、やはり美味しく食べたいところです。
持ち帰りまでの氷や真水などの保存方法に工夫を凝らす方は非常に多いですが、案外忘れられているのが〆です。
これをする事によってどのようなメリットが生まれるか?諸説ありますが、私が最も感じるのは当日の皮剥きが非常に楽になること。
よく釣りたてのイカの皮を剥こうとすると、千切れるばかりで上手くゆきにくいですが、〆てあるとペロンと剥がせて調理も楽に(なるように思います)。
他にも生きたまま袋詰めするより墨を吐かれにくい、袋内で噛み合うことがない。といったことのほか生臭くなりにくいとの意見も!
数が多いと大変ですが、余裕があるときはぜひお試しください!透明感の強いマルイカの刺身は一度食べれば病み付きです♪

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本格シーズンはこれから!

前半の乗り渋りでやや苦戦した今回の釣行。数日前より渋い日が続き、昨年の悪夢を予感しましたが翌日他船で好釣果も聞かれ、今後も大丈夫そうです。
テクニカルゲームが売りのマルイカはこれからが本番。日を追うごとに浅場へ移動し、小型も増えて釣り人の技量が問われるようになります。
逆に大型を釣って楽しみたいなら早めの釣行が吉!刺身では甘みの強く、火を通しても硬くなりにくい身は非常に美味です。
これから徐々に他のエリアも開幕してくることでしょう。2012年はマルイカの動向から目が離せませんね!

茅ヶ崎 一俊丸

LTマルイカ船 9000円

℡0467-86-7043

船宿ホームページ
http://kazutoshimaru.net/

Twitter @kazutoshimaru

[タックル]
極鋭ゲームセンサー165
メタニウムMg7 左
PE1号200メートル
マルイカ直結5センチ仕掛け
オモリ40号

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